海のポスター
僕の心は波間に漂う。
ブルーな電車にのって 僕は
仕事に出掛ける。 海辺の小屋に
真昼の星が、惶めく熱に浮かれ、
僕の話し掛ける太古の人間に
君達は似ていない。
疾走する電車の中で、
夏のポスターの島々が、口ずさんでいる
メロディーが、君にはお似合いだ。
だけど僕は昨日の小屋に仕事に出掛ける。
海が太陽の友情を大切にしているようには
君の移ろいやすい愛情を、壁に囲まれた
意識は信じていない。
もう止めよう。
ロシアからの君の恋文も、僕達の亡命騒ぎも、
宇宙の議題にはならない。
君の心はブルーな電車のポスターに翻っていて、
僕の心は真夏の海間に漂っている。
僕は仕事に出掛ける。
昨日の小屋の中から遠く青い海を見るために。
海のポスター