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葬式の参列客みたいに黒い服を着て、君は絶望を身にまとっている。光が反射した電車の窓はエコー写真に似ていると僕だけが気づいていたい。まだ乗り慣れない緑色の電車。同じ色なのに世界は反転したまま直らない。ゆううつだね。笑って君が言って、僕はそうかなとしか返さなかった。曖昧なままで人がまばらな映画館を思う。ゆううつだね。君の声が耳の奥に残っている。やさしさでは変われない。君と行ったあの新橋駅近くの試写会場。つまらなすぎて帰りたかった映画の中で好きな俳優が行っていた。それだけがあの映画の救いだった。そんな話を君にしたかったし、またマルイの前で待ち合わせがしたい。叶わない願いがこれからもっと増えていく。わかったふりをして、受け入れていたことが世界を回している。僕はそこに入れない。真昼の月を待っている。


20160704

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-08-06

Copyrighted
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