幸せのたどり方

あどけなく眠る赤子を見た。

とりあえず、一緒になって笑っちゃおう。私はそう思った。

その昔、松下幸之助というお人が、「商売とは、人を喜ばせることにある」と説いたらしい。
絶賛土木の方で売出中の父も、そう言って天丼のエビを食べていた。

さて、私の身の上で、商売というか、人の喜びになることとはなんだろう。
書くということしか手段はない。今のところ。

そう考えながら、とりあえず今朝起きたら頭痛がして、犬が喜んで飛んできて、「うむ、この子がいるから幸せだ」とまず感じ、腹を撫でてからシークワーサージュースを飲んだ。
テレビをつけると10ちゃんねる。加藤や春菜のコントが面白く、笑ってしまった。

そうそう、テレビとは娯楽だよなぁと、「今日は調子がいいな」と思い、健康であることを感謝した。
10時まで見て、笑いに笑ったあとに、「そうか、人を笑わせるということも、喜びの一つであるな」と悟り、今後は人を笑かそうと念じた。

今日は体調がいいので、犬に構いに構ってやってから、買い物にでかけた。

商店街に着き、スーパーに入る。
最近めっきり外出してなかったので、げっそりと肉が落ちた。
痩せたなーと鏡で見ながら、羨望の目を向けられつつ、それに「これから買い物袋を下げるおばちゃんに変身するんですよ」と無言で語りかける。
ダダダッと安い菓子や食べ物をカゴに詰め込み、レジを出て、また商店街を通る。
手前の人について歩いていたら、赤ちゃんを褒めている一団があったので、それとなく覗き込んで可愛らしさを確認する。

通りに出ると、買い物袋がくるくると回り、とても邪魔。

帰り道に、女学生たちがいたので、仕方なく道が一緒になったが、「この際だから」と袋を持ち上げ、くるくる回転させて元に戻しているのを見せて、学生さんたちに笑ってもらった。

こちらの学生は、皆素直でひねてなくてよろしい。

帰り着き、兄弟に分前をやりながら、買ってきた炭酸をごくごくと飲み、「あー、うめえ!」と一息。犬が跳ねている。
きなこ棒を犬と食べながら、テレビを見て笑う。

鏡を見ると、まだまだ若いのに、トイレットペーパーなど生活必需品ばかり追いかけ、欲が無いようで実は幸せへの欲はとめどとなく溢れている自分が写っていた。活き活きとしていてよろしい。

スーパーでかかっていたナオト・インティライミの新曲の方が、私の書く文章よりずっと人を幸せにすると思ったことなど考える。
もうちょっと、創作を頑張ったほうがいいんでないか。

最近ちと過激すぎることなど考えて、反省する。
しかし言わずにおれない、意固地な性分故に黙っておれなかったのだ。

そういうところ、損だよ。

昨日母に言われたことなど思い出し、苦笑する。どうにも私は、口がうるさい。

オードリーヘップバーンのムーンリバーの動画を見て感動しながら、私は私の道を見つけた気になって、こうして一人満足している。

父とまた映画談義をしたい、そう思って、今度はいつ帰ってくるだろう、とアイフォンで「また帰っておいでよ」とメッセージを送った。

幸せ日和は、風鈴のなる中、クーラーの冷気とともに過ぎていく。

幸せのたどり方

今日は体調がいい。

幸せのたどり方

今日は機嫌がいいもので。

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-08-01

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