熟した趣味の女は好き嫌いが激しい。

※これはほぼ会話文です。しかもネットスラングだらけです。主人公が腐女子でオタクです。胸糞悪くなる人も少なからずいると思います。瘴気を肺に取り込みたくない人は絵本でも読んでてください。

クソすぎるリプライ

「………あ???」

九重敦代(ココノエ アツヨ)の心中は決して穏やかではなかった。彼女は今、ツイッターの少ないフォロワー様たちの訓練されたリプを流し見ていたのだが、そこに原因はあった。ツイートの内容はこうだ。

『学生の時に腐の耐性がすごい男友達がいたんだけど、結局彼は腐男子にはならず姫男子に堕ちてしまった…折角ローズブートキャンプしたのに…なんでや……』
《なんですぐ姫堕ちしてしまうん…?》
《アッホwwwwwwwwwwwww》
《アツさん何やってんスか》
《肝心なところで仕事しないことに定評のあるアツ》
《腐って芽が出て咲いちまったんだよ仕方ないね》


〈その男性にすごい迷惑じゃないですか?そういう無理矢理腐男子にしようとするのやめた方がいいですよ。そもそも男性同士のそういうの好きじゃないです。やめてください!〉


「はい出ましたクソリプ〜〜!!!!! テンコカモ〜〜ン!!!!!!」
テンコ。決して下ネタじゃない。本名は添木史乃(ソエギフミノ)。SNSで知り合った唯一オフで会う友人である。心が広く、公平でありつつ口汚いのが特徴。スカイプでよくアツヨの愚痴を聞いている。


『……ばんわ〜〜』
「ばんわー。テンコ案件来ましたわ」
『おっ、今日はどんなお便りかな。オラわくわくすっぞ』
「私のちょっと前のツイートのリプ見てみ」
『あー、あのクソツイね。ハイハイ』
「久々に来たわ、カチンコチンコ」
『……おっお〜〜!これはご無沙汰であった!』
「テンコこの友達知ってるよねワシの」
『ハイハイ。あのフェアリー属性のね、承知してる』
「コイツは私の何を知った上で発言してんの?」
『んなこと知らんがな。こういう釣りじゃね?』
「こいつのツイート遡ってみたけど釣りじゃないっぽい。前から私に目をつけてるわコレ」
『自意識過剰乙。つかキモやってることストーカーと変わらないのですがそれは』
「愛のないストーカー」
『ただのヤバい奴じゃねえか。お付き合いを見送らせて頂きます。なに?またチョリソーに凍結頼むの?』
「いや、もう少しだけ様子見てから凍結させる」
『泳がせるとかお前…人間性疑うわ』
「ジョークのわからん奴は死よりも重い罰を受けてもらう」
『ジョークのわからない奴に何をされたのだ』
「あとフワフワしたパステルカラーでTL埋めんじゃねえよカス!!! ボヤけてるように見えるわ!!!視力えらい下がったかな?と思っちゃうだろうが!!!!」
『ストレートにダサいって言え』
「何この甘い物ばっかりのメディア……おめえは蟻か?」
『胸焼けするから間に猫でもインコでも文鳥でも挟んで欲しい感はある』
「だからといって深夜のラーメンはあかん。深夜にラーメンを投下するのは絶対ダメ。アツ姐さんとの約束だよ!」
『つかアツさん。こいつのツイート遡って同じことしか言ってねえからBotかと思った』
「真性のスイーツBotさんは腐海にズカズカ踏み込んでこない。五分で肺を瘴気に殺られるから」
『ダネッ。こいつと喘ぐサンマBotなら喘ぐサンマBotの方が有意義ですな』
「サラッとモノマネすんなよ。というかラムーの嫌がることしねえし私」
『友達は大切』
「ね」
『ね』
「ラムーも冗談だってわかっててめっちゃ笑ってた。これ嘘じゃない」
『それは本当かな』
「貴様は誰だ!!!」
『腐の耐性値が異常なヨシユキだ』
「いや、誰だよ」
『とりあえずクソリプにはクソリプを』
「ハンムラビ法典懐かしい……あっwwwwwこれはクソだ草生えるwwwww三段階wwww」


『アツさんの、その男性に対しての態度は至って普通です。その男性もそういうことは冗談と理解し、楽しんでいます。そもそも貴方は腐女子でもないのにわざわざリプを返したのですか?暇ですか?』
『人の好みは自由だと思います。貴方がスイーツとかスイーツとかスイーツとかスイーツとかパステルカラーとかスイーツとか好きなのとアツさんがBLが好きなのは違うというのですか?』
『あっ、違いましたねすみません(⌒-⌒; ) アツさんは心の底からBLを愛してますからね』


『クソリプ難しい ふえぇ〜〜』
「クッソwwwwwwwwwwwwwwww」
『反応が楽しみンゴ』
「楽しみだわwwwwwww」
『とりあえず眠いから私寝ますわ。おやすみ』
「グンナイwww」

熟した趣味の女は好き嫌いが激しい。

熟した趣味の女は好き嫌いが激しい。

「男同士は微炭酸飲料水のCM如く爽やかなのに対し、女同士の友情のそれは薄っぺらくてクソなのはなぜ?」 「女は一番自分が可愛いからだよ」 「なるほど、私が基本的に百合に萌ゆらないのはそれか」 九重 敦代、通称 アツさんは重度のオタク腐女子である。どこかの大富豪が月に150万通帳に振り込んでくれることをいつかいつかと待ちわびているただのOLを演じつつ、SNSのヒッソリと奥深いところで活動している。仕事のできる彼女だが、1つ重大すぎる欠点があった。そう、万物において好き嫌いが激しいのである。同担拒否、リバ地雷や絶対固定CPなどの地雷過多はもちろん、過激派オタク、メンヘラ、サブカル糞女などが大嫌いなアツさんを唯一広い心で受け止める友人のテンコ。そんな二人を中心に、今日もSNSを仲介しながら崇め奉り、ディスる日々を送る。

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 青年向け
更新日
登録日
2016-07-31

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted