片足の夢

これは夢の話である。

私は彼女を愛した。

これは夢の話なのだが、私が男になり、彼女は生まれつきか、後天性か、片足だった。
いつも人を睨んでいる、斜に構えた可愛い彼女。

彼女は、いつも嫌がらせをされる可能性を孕み、生きていた。
彼女を私に紹介した男すら、彼女に悪戯していた。
必死に抵抗する彼女を見て、私はその男を殴り飛ばし、彼女を助けた。
それから、彼女と私は行動を共にし、片足でも生きていけるすべを求めて、彼女はスポーツに打ち込みだす。
私は生計を立てようと、知り合いから店舗を借り、旧知の身体障碍者の内一人からかき氷気機を譲り受ける。

と、ここまでが夢の中の夢だったという話なのだが、ついてこられるだろうか。

その後、私は目が覚め、親子で暮らしているらしい家にいる。

リアルと言う漫画を読んだせいだろうか。

身体障碍者の頑張っている動画を見て、私は思わず録画を押し、真剣に見入る。
相変わらず意味不明なことを言っては私に歯向かう弟に、私は呆れ、「気持ち悪い」と言い放つ。

その後、南国のクラムカウンダウンという外国に行く。
その国は幸せの国だが、カエルが多く、病気のウイルスも多い。はて、私はこんな街とは縁もゆかりもないはずだが、と思いながら弟を連れて歩いている。
弟に鰻を買ってやる。
屋台の男が、ターバンを巻いた頭で「あと二切れしかないから買うならお得だよ」と言葉巧みに言い、弟が急にしゃきりとし、「じゃあお兄さん食べればええやん」と商売上手に言う。これでこいつはやっぱり振りをしているだけでまともだと分かり、「何故普段からちゃんとしないのか」と疑問が湧く。
そこに父と兄が追いつき、「ちょうどええわ、鰻買おう」と鰻を頼むと、男はしぶしぶ鰻を売る。
なんだ売り切れじゃないんじゃないか、と私は呆れる。

その後、車で夜の街を走っていると、私の同級生の良い奴で知られた奴が、中学の時の格好をして自転車でわざと妨害し、意味不明なことを叫んで私が狂っていたころの真似をし、「俺はなんとかかんとかだー!」とリスクしかないのに自分の名前を叫んで元気づけてくれた。

これも夢の中の話。

その後目が覚めると、父が一時帰宅した居間で、親子三人それぞれ寝ていた。
夢占いで身体障碍者を検索すると、「そのままの自分を愛してもらえる、またはあなたは偏見のない素晴らしい人だ」とのこと。
褒められる話だった。

クラムカウンダウンと検索したが出てこない。南国の夢とでも探してみようか。
どちらにせよ、奇妙な話である。

片足の夢

実話です。

片足の夢

夢を見た後は、すっきりする。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-07-31

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