ライ王のテラス

ライ王のテラス

『癩王のテラス』(らいおうのてらす)は、三島由紀夫の最後の戯曲。

ライ王のテラス

【スタッフ】
作=三島由紀夫 
演出=宮本亜門
【キャスト】
ジャヤ・ヴァルマン7世=鈴木亮平//
第一王妃=中村中
第二王妃¬=倉科カナ
王大后=鳳蘭
その他/吉沢亮/大野いと/芋洗坂係長/澤田育子/市川勇/市川しんぺー/神保悟志/

これは私が実際に観た舞台ではなく、TVでの放送を録画したのを頂いたものだ。
その友人が大フアンの鈴木亮平さんが主演を務める舞台は、カンボジアの舞踊団の踊りとともに始まった。

カンボジアの若き王・ジャヤーヴァルマン7世(鈴木亮平)は敬虔な仏教徒で、勇猛な美貌の戦士であった。
敵を破り大勝利の凱旋の喜びを語る王はたくましい体をきらびやかに飾っている。
よく通る声も立派な王様ぶりの鈴木さん、やっぱり肉体改造をしたんだ!そんな王を第一夫人と第二夫人が出迎える。
王は王宮のテラスから見える場所に寺院を立てるという
しかし、王の計画に、不安を抱いた占い師・は方角が凶だと進言した。すでに王の上腕に紅い花のような斑紋が出ていた。
この第一夫人を演じる中村中さん、以前に山本耕史さんと共演していた舞台を観たことがある。歌手として出ていたと思う。
今回の役も声のよく通る王妃の貫禄十分だ。しかしこの王妃もまた王と同じ病に侵されていた。だから王を避けていたのかと思う
民の一部に癩が蔓延しはじめ、星の凶兆を知った宰相・スールヤバッタは、これを機に癩病の王を暗殺して
自分が王太后と結び権力の座に就こうとしていた。

建築は次々と完成していった。しかし建築が進行しバイヨンの伽藍が出来上がるにつれて、
王の肉体は少しずつ癩に蝕まれていく。
王は体をすっぽりと覆う衣裳で肉体の崩壊を隠していた。そして国の財政も次第に傾きはじめ造営資金も窮していた。
この土地を守護するカワセミの鳥の羽毛を売ってまでバイヨンの建築費用に充てなければならなかった。
王朝の行く末を心配した王大后は王を殺し、又自ら身ごもって次の王を生み直すという野望を抱く! 
凄いことを考えるお母さんだ!

王大后は第二王妃(倉科カナ)に王を殺せと命ずる。失敗すればお前を殺すと・・・。
だが王を愛している第二王妃はそんな事はできないと第一王妃(中村中)に匿ってくれるよう頼む。

そして国外へ逃亡しようとしたが王太后に見つかってしまう。
そこへ王が現われ、「なぜ皆、私を避けるのだ」と女たちに詰め寄った。
そのとき第一夫人にも癩の兆候が出ていたのがわかった。
第一夫人は自分がライとわかっていたから王を避けていたのではないか?

ナーガという謎の蛇神の女性に嫉妬する第一夫人、だが自分がナーガなのだと言い張って火の中に身を投げて死に、
王は気を失う。
宰相は今がチャンスと王を殺そうとするが、後ろから王太后に刺されて死んでいった。

宰相の死で、叛乱の兆は消え、癩を恐れた村人も次々と出て行ったが、王を尊敬する若棟梁・ケオ・ファが
献身的に建築を進め、王の念願であったバイヨン寺院の建築を着々と進めていた。
しかし美しかった王の顔はもはや人前にさらせないほど癩に冒され、金色の輿に乗っていた。王は視力も衰えはじめていた。
バイヨン寺院が完成した。しかし宮廷には第二夫人しかいなくなり、王都の民の賑わいはなかった。

王は輿をバイヨン寺院が一望できるテラスに据えさせたが、すでに失明して死が迫っていた。
第二夫人にバイヨンの威容を説明させ、伽藍がどんなに美しいかを詳しく説明するのを聞きながら、王は幻を思い描くしかなかった。
王は死を迎える自分を独りにしてもらい、輿の中で死んでゆこうとする。
そのとき、バイヨン寺院の仏像の前に燦然とかがやく裸の美しい若い王の肉体が出現する。
筋骨隆々のすげー肉体美!(笑) ここから王の肉体だ、精神だ、という難しい争い(?)の会話が始まる。
三島作品だからか、言葉が難しい! 3回見たんだけどこの会話の意味がよくわからない(涙)

この美しい肉体が癩という不治の病に侵される。。
このギャップをより鮮明に印象付けるために肉体改造が必要だったのか?

これは余談だけど、癩病は体は崩れるけれど死の病ではないというのが私の認識だ。
治る病になったのは現代だけど・・・。
王はなぜ死んだのか・・・?

日本ではすでに一人の新しい患者も出ていないそうだが、インドとか東南アジアの方にはまだかなりの人に癩の発症が
見られるらしい。

鈴木さんて出演する作品に合わせて肉体改造することで有名(?) 以前天皇の料理人の時
結核を患っている役でゲッソリと痩せて驚かされた。
今回は凄い肉体美!!・・・・写真を上げておきます(笑)

でもあまり過激な肉体改造は健康面から考えると余りお勧めは出来ない。
程々って大事だと思うのでこれからの長い役者人生を大切に節度を持った体の管理をして頂きたいと思う。

体格は良いし声はよく通るし舞台俳優としての素質はとっても良いと思う。私も生の鈴木さんの舞台を観たい!
良い作品を選んで是非広島へも来てください。

ただ気になったのがこの舞台、舞台全体がとても暗い!という印象。
明るいお話ではないけれどももう少し明るくても良いんじゃないかと思った。

ライ王のテラス

ライ王のテラス

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-07-31

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