【歌小説】SEKAI NO OWARI『Love the warz』
SEKAI NO OWARIの楽曲『Love the warz』をもとに書きました。
文構成としては、普通の文、登場する少年が自分の中で思っていること、少年が言われた過去の言葉(基本『』内)、の3つから成っている感じです。これをわざとごちゃ混ぜにして書いているので、少々読みにくいものになっております…(笑)
一応これをふまえたうえで読んでいただくと少しイメージしやすい、どれがどの文か分かっていただけるかもしれません。
【歌小説】SEKAI NO OWARI『Love the warz』
2×××年―――。
とある広場に集まった人々の中心に、演説をする1人の男がいた。
その男は一言、こう言い放った。
「PeaceのPeaceによるPeaceのためのPeace。」
それを離れたところから見ている、左頬に3本の切り傷の跡がある1人の少年。
こいつは何を言っているの?
Peaceの対義語って何?戦争じゃないの?
こいつらが戦争を起こしているんじゃないの?
Peaceのために戦争をしているって言いたいの?
『戦争で何人いなくなったかな・・・? もう覚えてないや。』
演説し続ける男を、その少年は目を見開きながら、見続ける。
朝が無ければ夜も無い。悪が無ければ正義も無い。
そして不自由が無ければ自由も無い。
だから戦争が無ければPeaceも無い?
『平和って・・・何だろうな。』
少年は男から目をそらし、その男と反対の方向へ向かって歩き出す。
戦争を無くしてしまえば平和も無くなってしまうなら、僕らはどうしたらいい? 本当の平和は訪れない?
『大丈夫か!? だってお前・・・、顔がっ・・・!!』
少年は廃れた建物が集まる区域へ入って行く。
大人の気配はない。
そんな中僕らは生まれた。どこかで見たフレーズを使って表すなら、今は『LovelyでPeacefulな幸福な世界』らしい。
『なぁ、知ってるか? 俺達って幸福世代なんだってよ、笑えるよな。』
少年は1つの建物の中へと入る。
すると、数人の子供達と遭遇し、彼らは少年に声をかける。
少年は軽く反応すると、そのまま建物の奥へと行く。
なのにどうしてこんなに苦しいんだ? 夢も希望もありはしない。
僕らの幸せはどこにあんだよ? 平和の中のあるんじゃないの?
『ねぇねぇ、教えてよ。―――幸せって何?』
少年は階段を上がる。
幸福の中から幸せを僕らは見つけていけるのか?
でもそれはまるで昼に光る星のように僕らはそれを見つけられない。
世界が平和になってから僕らは生きていく理由が必要になって。
『1人になっても、生き延びなさい。』
泣いても笑っても探さなきゃいけない何でかって?
そんなの考えれば分かるでしょ?
最上階の部屋に辿り着くと、少年は紙とペンを取り出し、何かを書き始めた。
ただひたすら、黙々と―――。
その時、何かが紙を濡らした。
それは少年の顔から落ちてきていて。
吸い込まれるほど透き通っているようなのに、どこかもの凄く汚れているようで。
だが少年はそれを気にすることなく書き続ける。
そして、ペンを机に叩きつけるように置くと、ベッドに倒れ込む。
天井を仰ぐ少年の顔は濡れていて、けれど眼は瞳孔が開きかけていて、ニヤリと笑った口から出た言葉は―――、
「Love the warz…」
ある建物の最上階の一室で、ベッドに横たわり、顔の左半分だけ鎧のような仮面を被った1人の青年が目を覚ました。
青年は静かに起き上がると、窓から外を眺めた。
外はとても騒がしく、空襲警報か、はたまた別のサイレンか、発砲音のようなものも、人の叫ぶ声も聞こえる。
青年はふと机に目をやり、その上に置かれた1つのくしゃくしゃになった紙を手に取る。
その紙には、殴り書いたような文字で、
『Love and Peace. Beautiful world. Perfect age. Happy generation.
The things we have lost along the way.
Hold on. Something is wrong. Just what are we forgetting?
Where’s the love? 』
と、書かれていた。
青年は、黙ってその紙を眺めている。
すると、誰かが部屋のドアをノックした。
「失礼します。リーダー・・・、『Love the warz』。例の準備が整いました。」
ドアを開けて入って来た青年はそう言うと、頭を下げる。
仮面の青年は無言で頷くと、紙を置き、部屋を出た。
仮面の青年は階段をゆっくりと下りて行く。
その途中、壁に1つの絵画が飾ってあった。
それは、天使と悪魔が描かれていて、
太い対角線を境目に、右側には涙を流す悪魔、左側には嘲笑ともとれる笑みを浮かべる天使がいて、絵画の中央には薄汚れたハートが描かれていた。
天使と悪魔が愛し合う世界。
そこにはきっと『Love』が必要で、争いあって笑いあって僕らは幸せを見つけていくのだろう。
仮面の青年が階段を下りている間、
青年の頭の中では、何人もの子供達の声が鳴り響いていた。
世界がどう変わったらいい?
そして僕らもどうなったらいい?
僕らの悪をミナゴロシにしたら僕らの正義はどうなんの?
どんな希望を持ったらいい?
はたまたどんな夢を持ったらいい?
不自由なんかないこの世界でどんな自由を願ったらいいの?
頭の中で響く今まで問われ続けてきた問いに答えることもなく、仮面の青年は地下室の扉を開けた。
広い地下室には、十数人の青年達がいて、中央には数人の歳のいった大人達が口を塞がれ、鉄の棒に縛り付けられていた。
大人達は仮面の青年の姿を捉えると、顔を青ざめ、騒ぎ出した。
仮面の青年はその様子を冷酷な眼で見つめながら、ゆっくりと大人達の前へとやってくる。
そして、静かに仮面へ手をかけ、顔の左半分を覆う仮面を取り外す。
露わになった左頬には、3本の切り傷のような傷跡。
そして、まだ幼さが残るが、冷たい、感情が籠っていない声で―――、
「我々はPeace防衛軍。
平和を守るため愛を取り戻すため戦争を無くすため、
あなた方を処刑します。」
―END―
【歌小説】SEKAI NO OWARI『Love the warz』
最後で分かった方もいると思いますが、前半に出てくる少年と青年は同一人物です。少年の頃の様子から青年となった彼の様子へと移ります。
読んでいただくと分かる通り、読みにくい人には読みにくい文であったと思います(笑)
ただ世界観が世界観ですので、この書き方を作者自身は気に入っています(*´ω`)
1度読んで、話の流れが分かった後再度読むと、また違うのかなぁと思ったりしています。
下が今回使用した楽曲へのリンクです。個人的にとてもかっこいい曲なので、ぜひ聴いていただきたいです。
https://youtu.be/arSkpLlofGQ