夏の風物詩

蚊。それは、人類の敵。
食物連鎖の頂点に君臨する人間の血を喰らい、生きる者。
今日も奴らは飛んでいる。俺の周りを。血を吸うタイミングを今か今かとうかがっている。
あ、来やがった。足首に感じる違和感。だが、そこに奴の姿はない。その瞬間から戦いは始まる。全身を走る嫌悪感。鳥肌が立つ。視界に黒いものが入るとそれに攻撃を仕掛ける。奴はいない。
右足首。そこに奴がいる。コンマ0.1秒の一瞬の世界で考える。結果、足を振って、奴が飛んだところを叩く。
足を振る。やっが飛ぶ。胸の高さまで飛んできた黒点を、叩く。
激しい破裂音。そして一瞬の静寂。そっと、掌を開く。
そこに、奴は、いない。
嗚呼、今年もやってきた。忌々しき黒点を呼ぶ、夏という季節が。

夏ですね。キャンプの際は虫除けスプレーをお忘れなく。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-07-28

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