やっつけで書く、詩のようなもの
シナリオも考えす、書き直しもせず、ただキーボードをカタカタさせた詩のようなものです。
恐らく1つにつき、かけてる時間は5分程度です。
2016/07/26 闇は深く、根付いていく。
人間というものは、どこかに闇を抱えて生きている。
その対象は、物であったり、恋人であったり、存在しないものであったり、人によってさまざまだ。
いつか、光に満ちたとしても、決してその光に飲み込まれたりしない。
濃い闇と、奥深くに存在する黒。
黒が無くなることはない。
だから、闇も消え去ることはない。
『幸せになりたい』
そう願う者は、きっと闇に飲み込まれることはない。
たとえ闇が存在したとしても、幸福という光で覆い隠してしまえば何も見えない。
ただの白。
苦しむ者には、温かな幸福を、ささやかな幸せを。
そして、その思いを抱きしめて、死んでくれ。
「 」
言葉など、いらない。
全ては、決まった定めなのだから。
せめて、その人生に白を。
一つだけでも、幸福を。
「ありがとう」
再び、戦争は始まるのだ。
2016/8/31 黒い塊と、その中に存在するモノ。
全てを飲み込んでいく、黒い塊。
大きな大きな塊。
その中に存在する小さな命。
宇宙の端から端までは、どれくらいの距離があるのか。
そんなことは、私たちの目では見ることはできない。
いつか、宇宙が萎んで、小さくなったとき、空白の場所はどうなるのだろう。
そんなことを考えても、時の流れは止まってはくれない。
世界は、進化を遂げる。
人間は、退化していく。
宇宙は、拡大していく。
そして、命は消えていく。
宇宙という、大きな塊。
その中で、揺れ動いている小さな命。
星や、月や、太陽。
次は、何が消えるのだろうか。
たとえば、私。
2016/9/12 最期に感じる全ての事。
痛い。
燃えるように、体の中を蝕む熱は痛みを伝える。
苦しい、痛い、痛い。
天井を眺めながら、痛みを押し殺す。
耳を塞いで、口を塞いで、全てを無にしたい。
動かない腕と、足。
流れ出す赤色。
反射する白と黒。
狂い出す時計の音は、まるで巻き戻しているように針を落とす。
そのまま止まる短針は、動かないまま音を立てる。
チッ、チッ、チッ。
流れた赤は勢いを増して、ドクドクと音を立てて出て行く。
体の中から逃げていく。
突き立てたナイフは冷たい。
どこまでも冷たい。
熱を吸収することなく、冷ややかに突き刺さる。
もっと深くまで刺されば、この熱を冷ましてくれるのだろうか。
早く、もっと早く。
心臓は血を欲して高鳴る。
大きく脈を打つたび、赤色が溢れる。
天井の色が赤く染まる。
視界は赤。
何もかもが赤く変わっていく。
回り続ける長針は、同じ時間を繰り返す。
チッ、チッ、チッ……。
音がなくなり、何もなくなる。
色も、音も、熱さえも。
突き刺さるナイフと同じ。
冷たくなっていく体。
ああ、寒い。
目を閉じる。
まるで冬の海に飛び込んだようだ。
沈んでいく。
重くて仕方ない。
口を開けても、体の中に酸素はない。
首を手で締めれば、楽になっていく。
体の力は抜けて、軽くなっていく。
なのに体は海の底へと落ちていく。
目が覚めた。
目の前の赤は消えて、時計はいつものように針を進めている。
苦しさや、熱さ、痛さや、寒さ。
体からは全てが消えた。
ただ、映るもの。
私の姿。
赤に染まった、自分の姿。
何もなくなった、私の全て。
2016/11/19 謎に包まれた、黒い表紙の本。
黒い本を開いた。
名前さえ無い、ただの薄汚れた本。
それでも、一つだけ表記された『M』の文字が気を引く。
持ち主の名前だろうか。
この本は、昔に母が書店で見つけてきたモノで、もう四十年も買われること無く置かれたままだったという。
タイトルも無い本。
誰が書いたのか、いつ書かれたモノなのか。
…恐らく四十年以上前なのだろうが。
中身は恋愛小説のようだった。
恋愛小説で黒い表紙。
最初は不思議に思ったが、読み進めていく内に納得した。
フランスが舞台の話。
出会った男女はお互い引かれるように恋に落ち、結婚する。
そして、幸せな日々を過ごしたかのように思えたが、違っていた。
その男は、何人もの女性を殺してきた殺人犯。
そして、その女もまた沢山の男達を殺した殺人犯。
互いはそれを隠し、最期には二人とも自殺してしまう。
人を殺すことが快感となってしまった二人は、互いを殺そうとする。
しかし、それをせず、自殺を選んだのは何故か。
…本当に愛してしまったから。
はじめは殺害が目的だった二人には、徐々にだが確実に愛が生まれていた。
実に悲しい話だ。
互いは、互いを自分の欲で汚してしまわぬように死を選んだのだ。
何故告げることが出来なかったのか。
それは分からない。
だが、お互いの幸せを願っていた。
本のラストにはイラストが載っている。
壁を挟んで互いが見つめ合う絵。
二人はナイフを持ち、悲しげに笑っている。
閉じると黒い表紙。
これで黒い表紙については理解できただろう。
この本の著者はいったい誰なのか。
母が言っていたのは、古い友人、祖父の妹。
…母親、私。
当然何年も前のモノだ。
母が書いたとしてもまだ五歳にも満たない。
だが、本当に書いたのだとしたら…。
母は今日も血の臭いを漂わせて帰ってくるのだ。
著者は分からないが、登場する男女を表すとすれば…。
亡くなった父と、母だろうか。
がたりと扉の音がすれば、また笑顔で出迎えるのだ。
お帰りなさい、お母さんと。
この話を本にしたら、誰かが同じように読んでくれるだろうか。
2017/06/19 色を無くした世界について。
暖かな朝のことだった。カーテンに遮られた空には、柔らかそうな雲と青が広がっている。
そう。これは色のある世界だからこそ。
この世界から色を無くしてしまえば、何一つ残らない。
目に映る色全てが白になったとしたら。影も形も何もかも、全てが同じ色だったとしたら。
影を無くし、形を無くし、存在をも消えてしまう。触ろうとしても、探ることが出来ない。
手のひらも、身体も、相手の顔も、すべて。
2019/03/03 眠らない
ガサガサと空気を揺らす。
鬱陶しいテレビの音。
外は大荒れ、風の音が轟く。
もう、寝てしまおう。
ベッドの上には猫がまるまっている。
その場を占領するその体を持ち上げ、ベッドに横になる。
怒っているのか、こちらを見て『どうして起こしたんだ』と言いたげにしている。
ゴロンと枕横に丸まった猫を横目に、目を閉じる。
窓ガラスが風で音を立てる。
騒がしい。騒がしい。
カーテンで仕切った月明かりは、ぼんやりと部屋を照らす。
つまらない日常は、ただ騒がしく面倒で、退屈だ。
ただ、静寂が欲しい。
ただ、眠るだけでいい。
猫が再び、喉を鳴らした。
2019/4/10 風の知らせ
微睡みが静寂に溶け出した。
静かに風が賛美歌を奏でる。
彼は、私に向かって何かを叫んだ。
「 」
何を叫んだのか、私は訪ね返した。
風は勢いを増した。
彼は、私の言葉を無視して進んでしまう。
私は、風に足を取られて歩けなくなった。
「 」
叫んでみるが、こちらを振り向いてはくれない。
言葉さえ、風に飲み込まれてしまっている。
こちらを振り向いてくれ。
風はすとんと地面に落ちた。
彼の元へ急いで駆け寄る。
静寂は微睡みの中に反響した。
「 」
彼は、こちらを見て笑う。
賛美歌、風は薄らと奏でた。
「 」
彼は、笑いながら私の手を引いて行く。
「ようこそ」
足下は風に飲み込まれる。
地面に落ちる瞬間、彼は言った。
ようこそ、地獄へ、と。
やっつけで書く、詩のようなもの
書いてるときは、何も考えてないので
意味が解らない部分は、目をつぶってください。