流れ星王国シリーズ 第2話 ミクミックスおばさんがくれた不思議な種とおまじないのことばふりかけのお話

流れ星王国シリーズ 第2話 ミクミックスおばさんがくれた不思議な種とおまじないのことばふりかけのお話

読んでもらう小さな子供たちへ、そして読んでくれる少し大きな子供たちへ、すべての大人と子供たちへ捧げたいおはなし。
きらめき きらちゃんの大冒険 の続編です。

流れ星王国シリーズ第2話  ミクミックスおばさんがくれた不思議な種とおまじないのことばふりかけのお話

ミクミックスおばさんは、ママちゃん王妃さまの妹。
きらめききらちゃん王女のおばさんにあたるひとです。

ミクミックスおばさんの本当の名前は
「マジカル・インスピレーション・ケーキ・ミックス伯爵令嬢」と言うのですが
長すぎるので、いつの間にかミクミックスと呼ばれるようになりました。

ミクミックスおばさんはとってもおしゃれです。
数え切れないほどポケットのいっぱいついた
おしゃれで不思議なお洋服を着ています。
そして、誰かにプレゼントをすることが大好き。
いつもポケットから何かいいものを取り出して
きらちゃん王女に分けてくれます。

「今日はきらちゃん王女が生まれてから
千と ん百 ん十 日目だから
記念に 千と ん百 ん十 番のポケットを開けてみなくちゃ」
と言って、
着ているドレスやケープのポケット全部と
被っているお帽子の裏まであちこちひっくり返して、
千と ん百 ん十 もあるポケットを手探りでさがします。

ミクミックスおばさんは
千と ん百 ん十 以上もあるポケットのうちのひとつに手を入れて
しばらく何やらゴソゴソしていると、小さなタネを取り出しました。
「あったわ」

「なんのたね?」
きらちゃん王女は尋ねました。

「さあ?なんのたねかしらね?」
ミクミックスおばさんはニコニコしながらそう答えるだけです。

そしてまた、思い出したように、「あっ、そうそう!」と
千と ん百 んン十番のポケットから
「おまじないのことばふりかけ」の袋を取り出し
タネと一緒にきらちゃん王女に手渡しました。

「タネを蒔いてお水をあげたら
じきに可愛い芽が出てくるから
この袋の中身をかけてごらん」

そう言うと、何番めかわからないポケットの中から
折りたたみ式の愛車の星空カート
スペシャルおしゃれエディションを取り出して
パタパタパタと大きく広げ、ひらりと乗り込んで
空高く飛び上がったかと思うと
音楽隊の練習に行きました。

きらちゃん王女はミクミックスおばさんを見送ると
ふんふ、ふんふ、ふーーんと鼻歌交じりにスキップしながらお家へ帰りました。


お庭の隅でからっぽの植木鉢を探していたら
おとうとの ときくん王子もスコップを持ってきてお手伝い。

二人で仲良くタネを植木鉢に植えてお水をあげました。
お水をあげてもあげても乾いた土がゴクゴクと飲み干してしまいます。

「タネさんも、ちゃんとお水を飲んでるかしらん?」
二人は心配そうに植木鉢の中を見守ります。

その時きらちゃんは
ミクミックスおばさんからタネと一緒にもらった
おまじないのことばふりかけのことを思い出しました。

きらちゃん王女のお洋服にはポケットが二つです。
二つともひっくり返してみましたが袋は出てきません。

あれれ?どこに行っちゃったのかな?確かにもらったはずなのに。
どこかに落としてきたのかな?

ミクミックスおばさんと会ってお話した場所まで戻って
何度も行ったり来たり、どこかに袋が落ちていないかと探し回りました。

「おかしいなー。どこ行っちゃったのかなー?」
「おまじないのことばふりかけがないとタネが育たないのかしら?」
二人は考え込んでしまいました。

「芽が出るためのおまじないかな?」
「ミクミックスおばさんは、芽が出てきたらかけてごらんって言ってたよ」

二人で相談して、タネが芽を出すまでしばらく様子を見ることにしました。
そして毎日代わる代わるお水をあげながら
芽が出るのを楽しみに待ちました。


ある朝、「きらちゃーん、ときくーん、起きてごらん」
パパちゃん王様が大きな声で二人を起こしました。

二人が眠い目をこすりながらお庭に降りてみると
植木鉢の真ん中に可愛い緑色の芽が頭を出しています。

二人は「やったー!芽が出たー!」と飛び上がって大喜び。
だけど、大事なことを思い出しました。

芽が出たら、「おまじないのことばふりかけ」をかけてあげなければならないのです。
「どうしよう、何か代わりになるものはないかな?」
二人は一生懸命考えます。

「おうちにある、おべんとうふりかけはどうかしら?」
「ぼく、一番好きなたまごのふりかけをかけてあげたいなー」

二人はササっとふりかけをかけてみましたが
どこからかアリさんたちがやってきて
ふりかけを一粒残らず運んで行ってしまいました。

がっかりした二人はしばらく黙り込んでいましたが

「そうだ!おまじないのことばふりかけなんだから
おまじないのことばをかけてあげればいいんだわ!」
きらちゃん王女が言いました。

二人はおうちに入って、ママちゃん王妃様に尋ねました。
「タネから芽が出た時のおまじないの本って、おうちにある?」

ママちゃん王妃様はにっこり答えます。
「あるわよ。」
二人は本棚を探そうとしました。

ママちゃん王妃様は続けて言いました。
「きらちゃんと ときくんのこころの中にあるのよ」

二人はびっくりして顔を見合わせます。

ママちゃん王妃様は
「タネさんは、二人にお水をもらって、とってもうれしかったのよ。
あのタネさんはきっと、うれしかっタネ!というタネだったのね。
だから、二人からどんな言葉をかけてもらいたいと思う?」

もう一度二人は顔を見合わせます。

そしてあっという間にあふれてくる笑顔を我慢できずに
全速力でお庭に降りて行き
植木鉢のタネさんにありったけの大きな声で言いました。

「よかっ タネ!!」

「がんばっ タネ!!」


タネさんはもうタネではなく、芽が出てフタバさんになっていました。

二人のおまじないのことばと、おいしいお水と、おひさまの光で
フタバさんはどんどん伸びて葉も茂り
二人の背丈より大きくなって
かわいいお花も咲かせて、家族や、道行く人を楽しませてくれます。

タネさんから出たフタバさんが育って咲かせたお花の下で
ふたりは毎日

「よかっタネ!」「がんばっタネ!」

「お花さんきれいダネ!」

「今日は楽しかっタネ!」と

言葉をかけながら過ごしました。


「ありがとうタネさん」
「ありがとうお花さん」


そんな二人の様子を見て、パパちゃん王様もママちゃん王妃様も
お城のご近所のみなさんもニコニコ。


一方、ミクミックスおばさんときたら
ン千、ン百、ン十番目のポケットから何やら取り出し
おべんとうのおにぎりにササっとかけました。

あらら?それは、きらちゃん王女にあげたはずの袋ではないかしら?

「しーーーーーっ…。」

その日の音楽隊の練習は何だかみんな和気あいあいとして
ミクミックスおばさん
とってもゴキゲンな1日でした。

流れ星王国シリーズ 第2話 ミクミックスおばさんがくれた不思議な種とおまじないのことばふりかけのお話

流れ星王国シリーズ 第2話 ミクミックスおばさんがくれた不思議な種とおまじないのことばふりかけのお話

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-07-25

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted