流れ星王国シリーズ 第1話 きらめき きらちゃんの大冒険

流れ星王国シリーズ 第1話 きらめき きらちゃんの大冒険

読んでもらう小さな子供たちへ、そして読んでくれる少し大きな子供たちへ、すべての大人と子供たちへ捧げたいおはなし。

流れ星王国シリーズ  第1話  きらめききらちゃんの大冒険

あるところに
流れ星王国と言う国がありました。

お姉さん王女の きらめき きらちゃん と
おとうと王子の ときめき ときくん は
とっても仲良し。

王女と王子は
今日も流れ星の星空カートに乗って飛び回り
いつものように仲良く遊んでいました。

お姉さんのきらちゃん王女は、飛ぶのがとっても上手
いつもあっという間に
おとうと王子のときくんよりずーっと遠くまで飛んで行ってしまいます。

きらちゃんは得意になってビュンビュン飛ばし
ときくんが追い付けないほど
ずーっと先の方まで飛んできてしまいました。

ちょっと得意になりすぎたかなぁと
お姉ちゃん王女は後ろを振り返り
おとうと王子の飛んでいるあたりまで
戻ってみようとしたときです。
頭の上に大きな大きな宇宙船が降りてきて
王女の前で止まりました。

王女 がポカーーーンとしていると
船の中から宇宙人のお役人が出てきました。

お役人は きらちゃん王女の前で
光る板をピポピポピポ と押して
きらちゃんの手を取り
光る板の上に乗せたり
お顔に光る板を近づけたりして
宇宙人の言葉で言いました。

「☆。¢×%*<・?$#+!」

これは流れ星王国の言葉にすると
「きらちゃん王女、お迎えに参りました!」となります。

もう一度光る板の画面をピポピポピポピポすると
宇宙人のお役人は 胸ポケットから
四角いお手紙を取り出しました。

お手紙を開いてみると
知らない言葉が並んでいます。
けれど、きらちゃん王女には、すぐにわかりました。
パーティーの招待状を 届けに来たのです。
きらちゃん王女は大喜びで宇宙船に乗り込みました。

宇宙船の中はとーーーっても広く
街や森や山や川がぜーーーんぶすっぽり入った
まるで大きな国のようです。
案内してくれるお役人の小舟に乗ると
いくつもの街や森を抜けて
王国のお城につきました。

そこで宇宙人の召使いがお出迎え。
王様のところへ案内されました。
きらちゃん王女は
宇宙人のお料理をご馳走になったり
宇宙人のダンスをしたり
宇宙人のお歌を聴いたり
宇宙人の言葉もすっかり覚えてしまうほどです。

きらちゃんは自分のお星のお歌も聴かせたり
王様にお話をしてあげたり
夢中になって遊ぶうち
どんどん時間が過ぎて行きました。

気がつくと、宇宙船はきらちゃん王女のお星をどんどん離れて
とても遠いところまで来てしまいました。
お家が恋しくなって、そろそろ帰らなくちゃと思っても
誰も出口を教えてくれません。

出会う人、出会う人、みんなみんなが
「きらちゃん王女、もう遅いのでおやすみなさい」
「ここで暮らしなさい」と言うばかりで
お星に帰してもらえません。

さあ大変です。
あわてて船内のあちらこちらを走り回り
出口を探し回ってみたけれど
どこにも見当たりません。
ふと、お空の上の方にある天窓に気がついて
ハシゴをのぼって外を見ると
きらちゃんのお星がはるかずーっと遠くにちっちゃく見え
今にも見えなくなりそうです。

「お家に帰りたいよー」
「おとうと王子のときくんはどうしたかしら」
「ママちゃん王妃様さみしいよお、パパちゃん王様助けにきてよお」
きらちゃん王女がしくしく泣いていると
どこからともなく呼ぶ声がします。

「きらちゃーん、‥‥‥ちゃーん」
きらちゃん王女は泣きじゃくりながら、その声のする方を見上げました。
一生懸命走っていくと、小さな星空カートが飛んでくるではありませんか。

きらちゃん王女が宇宙船に招き入れられた時には
まだずっと後ろの方にいて
置いてきぼりになったはずのおとうとのときくん王子が
宇宙船の飛び立つ寸前に閉まりかけた扉の隙間に飛び乗り
こっそり宇宙船に忍び込んで
きらちゃん王女の後を追って
探しに来ていたのです。

「きらちゃーん、きらお姉ちゃーん、こっちだよー」
ときくん王子の星空カートが降りてきてお姉ちゃん王女を乗せました。

「ときくんごめんね!!探しに来てくれてありがとう!!」
二人は肩を抱き合って喜びました。
そして「運転はまかせて!」
きらちゃん王女が操縦席に座ったかと思うと
宇宙船の中の広〜い広〜い空をビュンビュン飛んで
みるみるうちに出口のそばまで飛んで行きました。

さあ、そこでまた大変です。
なんと、門のところに
ものすごく怖そうな門番がいるではありませんか。
恐ろしさにブルブル震え上がりながら
どうやって出口を開けたらいいのだろうかと
一生懸命頭をひねって悩んでいる二人。

すると、今飛んできた方向から
あのお役人がやってきます。
二人は森の茂みに隠れて様子を見ていました。

お役人が門番に何かを命令しています。
門番は門の柱に仕込んである光る板をピポピポピポ。
お役人がそこに手のひらを当てたり
お顔を近づけしたりして
最後に出てきた大きな鍵穴に
ポケットから取り出した大きな鍵をさして
ガチャリと音をたてて開けました。

扉が外にギギギいーーーッ
ドーーーーンと降りました。
見えてきたのはなんだか見慣れた景色です。

二人がドキドキしながら
飛び出すチャンスを今か今かとうかがっていると
お役人は外へ出ます。
今だ!とばかり二人は茂みから星空カートで飛び出しました。

するとそこにはお城のご近所の
小さな小さな王女さまがポカーーーーンとしながら
お役人の目の前に立っているのが見えました。
きらちゃん王女がさらわれた時と同じです。

「ダメだよ!乗っちゃいけないよ!知らないところへ連れて行かれちゃう!」
そう叫んだ二人は小さな小さな王女の手を掴んでカートに乗せ
ものすごい速さで飛び去りました。
そして、小さな小さな王女のお城まで送り届けてあげました。

「ああ、怖かったね。知らない人について行っちゃいけないね。」
「危なかったね。でも帰れてよかったね。」
「すごい冒険しちゃったね」と口々に言いながら
このことをパパちゃん王様とママちゃん王妃様にお話すれば
きっと叱られるだろうなと考えてしまいます。
「でも、頑張って帰ってきたから許してもらえるよね。お話しよう!」
と決めました。

お城に帰り着いて、ママちゃん王妃様とパパちゃん王様の
優しいお顔を見るなり、二人は駆け寄ります。
うわーんうわーんと泣きながら
しばらくは何を言っているのかわからないくらい
大泣きに泣いてはしゃくりあげ
やっと落ち着いてお話できる頃には
眠くなってしまって
大冒険の続きの楽しい夢を見ていました。

流れ星王国シリーズ 第1話 きらめき きらちゃんの大冒険

流れ星王国シリーズ 第1話 きらめき きらちゃんの大冒険

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-07-25

Copyrighted
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