太郎の家で次郎が夢見て、次郎の家で三郎が夢見る。それなら、太郎はどこで夢見たらええんや?(6)

六 生物は皆兄弟、皆姉妹

「どうだ。なんとかなりそうか。いや、なんとかしないといけない。もう、わしらの星は消滅してしまって、わしらには帰るとこがないんじゃ」ソファでは老人が座っていた。高橋の近所で、犬を散歩させていた老人だった。
「そうですね。最初は用心深かったですが、最後には、こちらを信用してくれました。押しには弱いようです。それと、一人ではやはり寂しいんでしょうか、仲間が欲しいみたいです」自称高橋が老人に報告する。
「そうだろう。わしが思ったとおりだ。人間だけでなく、犬も猫も、他の生物もそういうものだ。我々もそうだ。それでは、まずはあの男をとっかかりにして、人間に近づこう。人間の中に紛れ込み、人間と少しずつ同化していけばいい。我々のDNAを人間に引き継いでもらえれば、それでいいんだ。この犬のように」老人は足下にしゃがんでいる犬の頭を撫でた。犬はワンと吠えた。
「わかりました。でも、高橋の唾液や皮膚などからDNAを採取して調べてみますと、他の宇宙人のDNAも何種類か混じっていました。その混入形跡は千年、一万年じゃなく、もっと古いようです」
「そうか。我々と同じように自分の星を失くし地球に来て、人間と同化している宇宙人がいたのか。それも何種類もか。まあ、同じ宇宙人だ。考えることはよく似ているのだろう。我々も、その数種類の宇宙人と同化した人間と上手く生きていけばいいんだ。生物は皆兄弟、姉妹だ。我々の未来はお前たちにかかっているぞ。これが上手くいけば、今度は、秋山と名乗ってくれ」自称高橋は大きく頷いた。

太郎の家で次郎が夢見て、次郎の家で三郎が夢見る。それなら、太郎はどこで夢見たらええんや?(6)

太郎の家で次郎が夢見て、次郎の家で三郎が夢見る。それなら、太郎はどこで夢見たらええんや?(6)

六 生物は皆兄弟、皆姉妹

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-07-23

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