お口はミッ◯ィーちゃん。

「タイミングなんて、自分で作らなきゃいつまで経ってもやってこないよ。」

その一言はとても的確で、いつも私を苦しめる。


私はいつもタイミングを逃す。

「この前の案件の確認なのですが...」

「この書類の提出を□/△までにお願いします。」

「すみません、今日提出の書類を忘れてしまいました。」

その一言、たった一言を口に出せない。
出せないまま、いつ言おういつ言おう、と言葉と不安と恐怖がぐるぐる頭と心を支配して、
どんどん唇が重くなって、開くことが出来なくなる。


やっと開けるその時は、

「あ、この前の案件確認した?」

「あの書類の提出いつ?」

「今日提出の書類、持ってきてるよね?」

相手からの最初の一言。
先に言わなければいけないのは私のほうなのに、相手に言われてから話す。
そして怒られる。「なぜ先に言わないのか。」と。

何度も何度も同じ失敗。
学習能力がないのか、と怒られる。
言わなきゃ言わなきゃと思うのに。
早く言わないと大変なことになる!後で言ったときのほうが自分も苦しくなる!
そうわかっているのに、重い唇を尚更きつく閉じてしまう。
言葉は、声は、そこを突き破って出てくれない。


もういっそのこと、唇なんて無ければいいのに。なんて馬鹿なことを考える。
問題はそこじゃないのに。

お口はミッ◯ィーちゃん。

後悔先に立たず、という言葉を何度も何度も味わう。そろそろ「ごちそうさま」をしたい。

お口はミッ◯ィーちゃん。

お口が「X」の理由は、鼻と口を同時に表しているかららしい。ひとつ勉強になったね!

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-07-18

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