天の川は見えない

蒸し暑いだけの曇り空
べったりと纏わりつく湿気を含む重たい空気

スカートの裾を少し持ち上げヒラヒラさせている
無邪気さと恥じらいの境界線

そんな彼女に恋をした

雲の上では再会しているよね
不透明な厚い雲の先に思いを馳せる彼女

来年も見に来よう
そう約束した七夕の夜

あれから幾度か
天の川の見えない七夕を過ごした

今年はキラキラ輝く天の川が見えるけど
もう彼女はいない

織姫と彦星の再会を独りで見ている

涙で天の川が滲んで
やがて今年も見えなくなる

天の川は見えない

天の川は見えない

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-07-17

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