自分の顔は好きですか?

朝起きて、支度して、必ず飛び込んでくるものって、「顔」だと思うの。それがどんなに素敵でも、どんなに卑らしくても避けられない。だって、あなたは鏡を見るでしょう?髪の毛に櫛を通して、歯を磨いて、顔を洗うでしょう?ほら、もうあなたは顔を見てるの。誰のでもない顔を見てることになるの。
私はそれが嫌で嫌で仕方がなくて、毎日朝はそんな気持ち。気持ち良い朝になんてあったことがないの。もちろん絶世の美女だったら毎朝最高なんでしょう。絶世とまでいかなくとも綺麗な人はたくさんいるわ。顔が整っているわけでもないのに、愛嬌があって可愛らしい、引き込まれる顔をした人だっているわ。でも私は違うの。
腫れぼったい目に、お化粧の邪魔さえする右目の上のほくろは、ほじくり出してしまいたい。潰れた鼻のせいでいつも息苦しい。輪郭ってどうにもならないのかしら。痩せても変わらないの。肉を切り取ってしまえばいい?口は…分からない…。
こんな顔と毎朝対峙する気持ちがあなたに分かりまして?きっと分からないでしょう。私は毎朝鏡に向かって吐息をかけるの。深く長いミント味の吐息を。
できれば鏡を見たくないのだけど、そういうわけにもいかない世の中よね。朝起きて鏡を見ずに学校に行ったらきっといじめられちゃう。あまりにもみすぼらしいんだもの。こんな顔だからこそ朝からパタパタ忙しなく動くしかないの。皮肉なことね。
でもね、たまに少しだけ自分の顔にうっとりするときもあるの。ああ自分の顔、私だけの顔って。でも、鏡に写った自分はきっと20%の補正が脳内でかけられているらしいの。自分の顔に正面から向き合ったら、ビョウキになってしまうからかしら。
私は整形をする。きっと大学生になったら整形をしたいわ。そのためにたくさんバイトをするの。そうね、やっぱり水商売が魅力的。だって自分の顔でも、濃いお化粧で別人になれるじゃない。顔は関係なく、体を感じてくれるじゃない。そうやって稼いだお金で、整形をするってどんな気分なのかしら。今から高揚してしまうわ。
この文書をベッドで書きながらきっと私は寝てしまうの。そしてまた明日ため息をつくの。

大嫌いな顔のことについて書きました。女子高生です。最近犬や熊になるのが流行ってるみたいですね。あれ嫌い。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-07-16

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