受け継がれる母の手仕事

実家の裏庭には、ミョウガ、三つ葉、ユキノシタ、ドクダミ、山椒の木などが自然に生えていた。

それで、ドクダミやユキノシタの花が咲く丁度この時期になると、

母はせっせとこれらをとってきて、ドクダミはお茶に、ユキノシタは化粧品にと手作りしていた。


そのあたりだけ、なぜか季節外れの糸トンボがよく飛んで来て、私は、裏の縁側に座って、

母の後ろ姿と、糸トンボを見るのが楽しみで、飽きずにいつまでも見ていたのを思い出す。


母の手作りドクダミ茶やユキノシタ化粧品は、強制的に飲まされたり、つけらりたりしていた。

そのおかげか、ニキビとか吹き出物も出来ず、ツルッとしたきれいな肌だった。


今、私は誰に言われるわけでもないのに、小さい庭には、柿の木以外は、

すべて実家にあったのと同じものを植えている。

そして、この時期になると、ドクダミ茶を作りユキノシタ化粧品を作っている。

やっぱり、自然と母と一緒の事をしている。


そしてまた、近くに住む娘も、教えもしないのに、私と同じものを植えていて、

この時期になると、やはり、せっせとドクダミ茶を作り、ユキノシタ化粧品を作り、

強制的に、子供たちに飲ませている。

 
   色白、美肌美人はこうして受け継がれていく…ウフッ。

受け継がれる母の手仕事

受け継がれる母の手仕事

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-07-16

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