不良品ではありません 第1品
zzzです!今回は人物が出てきます!
一応主人公格予定です><
それでは、ご期待にそえられる自信はありませんが、楽しんでいただけたら嬉しいですm--m
―第1品「俺んちも貧乏なんだって!」―
「金出せよコルァ!!」
ガタイのいい男のドスのきいた声が響く。道中堂々のカツアゲ。本来ならば警察官などに止められるところだが、今の日本にそんな者は一部にしかいない。
ただ迷惑そうな視線を向けながら、人々は関わらないようにそそくさと早足で通り過ぎていく。
空は雲ひとつ見えない晴天。しかし、そびえ立つビルのせいか、箱のような狭い世界にいる錯覚を覚える。
「おい!!タカシさんが言ってんだぞ!!はやく出せや!!」
金を出せといった男(タカシ)はリーダーらしい。彼の周りは部下のような男たちで人垣ができている。
いわゆる不良グループなのだろう。皆そこらかしこにピアスやら凶器やら持っている。
その中でも一際小柄な男がすごむ。リーダーに媚を売るのに必死な様子だ。
「どこみてんだぁ?!!」
そんなガラの悪い不良グループにからまれているのは・・・
ブレザー制服を着た高校生らしき青年。
ブレザーの下はフード付のパーカーで、そのフードを深くかぶっている。
そのためか、彼の顔は口元しか把握できない。
「え?いや、空が綺麗だなーって・・・」
青年が口を開いた。
いかにも校則違反のようんな格好だが、うつむき加減で話す彼には、そういった決まりごとを破る勇気はなさげに見える。
元々破る決まりがないのか、はたまた、彼の学校も不良グループによって無秩序化しているのか。
学校等の施設が回復してきたとはいえ、決まり(校則)を一から、しかも新たな時代に合わせて作るのには時間がかかっているのだ。
そういったことで、決まりがない中、現在の若者たちはやりたい放題である。
自分たちの親世代がそうだったように・・・・。
しかし、違う点を言えば、”集団”で行動するようになったことだろう。
そういう面で、人間の弱さは感じるが、
『長いものには巻かれろ』―力ある者には抗うよりも従ったほうが良い
そう考えると、幾分かずる賢く、ある意味協調性が見て取れる。
「はぁ?頭沸いてんのか?!空なんがどうでもいいんだよ!!金出せよ!!」
青年の返答に顔をしかめる小柄な男。
後ろのほうで、信号無視をした車にクラクションを鳴らす音や、怒声がきこえる。
「はぁ、でも、俺金持ってないんですよね」
両手を”お手上げ”とでもいうように胸の前にひらひらさせて、青年は言う。
うつむき加減だった顔が上がる。そして、フードからやっと顔全体を見ることができた。
人の良さそうな顔つき。
どこか活発さを感じさせるような、少年らしいあどけなさも残っている。
その顔を見た瞬間、不良グループの男たちは、顔に驚愕の色を浮かべた。
信じられない―といった感じで全員が目を見開いている。リーダーのタカシでさえ。
クラクションの音がより大きく響いた。
「お、お前は・・・!!」
一番近くに詰め寄っていた小柄な男が、誰よりも早く声を上げた。
声は若干震え、恐怖の色を奏でている。
「あ、まさか俺の髪が金髪だから金!!とか?ナイナイ(笑)俺んちも貧乏なんだって!悪いんだけど、逆に俺に金くれたら嬉しいっすよ」
周りの驚愕など知らないという感じで・・・否、気づいていない様子で青年は一人口を動かす。
ぶわっ・・・・
高い建物の隙間から、強い風が吹き込んできた。
それと同時に「うわっ」と少し驚いたように肩をすくめる青年。
その風で、パーカーのフードが頭からぱさっと落ちた。
金髪の明るい髪が、日の光に当たってキラキラ光る。
不良たちの顔はさらに青くなった。”まさか”が確信へと変わったのだ。
一際ガタガタと震える男が、青年を指差して声を発した。
「と・・・友宮・・・・キル!!」
「ん?」
”友宮キル”の人名に反応する金髪の青年。
彼ら(不良グループ)が恐怖している人物の名前。
その人物が今目の前にいるのだ。
全員が一歩後退りをする。
「ここいらで暴れまくっているっていうあの・・・!!」
「え?;;あの、まぁ・・・(汗)それには事情が―・・・」
「事情なんかどうでもいい!!お前は友宮キルなんだな?!」
勇ましくリーダーのタカシが一歩出る。しかし、青年よりはるかに逞しい体は震えを抑えきれていない。
自分よりも小柄な相手に何を怯える必要があるのか、初めてこの光景を目にした者は思うことだろう。
質問の答えはまだ返ってこない。
二人の間にまた強い風が舞い込んできた。
再び”友宮キル”は俯く・・・・
なぜ彼は、俯いていながら”空がきれい”と言ったのか。
フードを深くかぶっていながら、彼の目は何をうつしていたのか。
彼以外、知る由もないことで・・・・
深く息を吸い込んで、顔を上げた。
そして彼は笑顔で
「うん」
ただ一言、肯定の返事を返した。
その瞬間、彼を取り巻いていた不良集団は嘘のように消えた。
「足、速いなぁ」
その場に残された彼は、ただただ、苦笑いをするしかなかった。
第1品目、友宮キルの朝。
不良品ではありません 第1品
お疲れ様でした!最後まで読んで下さり、本当に嬉しいです><
今回、主人公格の一人として、”友宮キル”という青年が登場しました^^/
まだまだ不明な点が多いですね;なぜ彼が怖がられているのかをしっかり書き留めていきたいです。
今回彼についてわかっている点をまとめますと
・とりあえず、不良に一目置かれている。
・家が貧乏らしい
・金髪、パーカー
ですかね(・ω・´)
彼以外にも主人公格は出てきますので、お楽しみ(?)に!