Blue Sky
真夜中の海は静かでとても幻想的である。二人の足元に冷たい波がかかる。「アイシテル」二人は手をつなぎ目をつぶりながら静かな海の中に入っていった。静かに二人の思い出を思い出しながら...
私たちは教師と生徒という立場であった。そして、恋人関係であった。
私たちが出会ったのは、私が高校3年生そして彼は新任の教師として私の通っている学校に来た。私はその当時はとにかく学校がつまらなかった。授業も友人関係もなにもかもいつも学校に来ては、屋上に行き無限に広がる青い空を眺めていた。今日もいつものように授業をさぼって屋上で休んでいた。そんな時、奥から誰かの足音が聞こえてきた。(チッ、また生徒指導の大塚が来たかな?それとも、担任の矢野か)私はそんなことを考えながらも、起き上がることはなくだんだんと大きくなっていく足音を聞いていた。音は私の前でとまった。私はめんどくさそうに目を開いた。太陽は予想以上にまぶしかった。目の前に立っていたのは、生徒指導の大塚でも、担任の矢野でもなかった。
「おーい、なぁにサボってんだ?」
そう声をかけてきたのは新任教師の高橋だ。この人はルックスもまあまあ良くて教師からも女子生徒からのウケも良いと噂されていた。「…別に。センセーには関係ないじゃないですか。ほっといてください。」我ながらなんと態度が悪いのだろう。寝転がりながら先生を見上げた。「関係ないとはまた、冷たいなぁ。」ははっと笑いながら、優しい声で言ってきた。その時は別にほかの先生と違ってへんなの…。くらいにしか思ってなかった。大塚や矢野なら少し注意したら去ってしまうが、高橋は「内緒な。」と言いながら、ポケットから煙草を取出し吸い始める。なんだかよくはわからないが先生は他の人とは違う。「なんでうちが煙草吸うことしってんだよ」「やっぱりお前煙草吸ってたか~お前の髪の毛と制服からほのかに煙草のにおいがしたんでな「変態」「はは、そう思われても仕方がないよな」私はクスッと笑いながら煙草を吸い続けた。私は、煙草をある程度吸ったら火を消して飲みかけのお茶のペットボトルの中に煙草の吸殻を捨てた。「まっ、この次の授業もダルかったらここでサボってろ、といってもまだお前煙草くさいからちょっとここにいろよ」「わかってるよ、ていうかもともと次の時間も出る気なかったしね。」
「ははは、そっか」
私はその屈託のない笑顔に少しドキドキした。高橋はズボンについた砂を払い落として私にさっき吸っていた煙草の箱を投げてきた
「それ、お前にやるよ。俺が持っててもやばいしな。」
私はまた寝転んで目をつぶりタバコの箱だけを持ち上げて手を振った。
結局私は家へ帰った。
私には家族がいない。
小さい頃は施設で育ったが、高校入学と同時に世間体を気にする親戚が
「身内で施設に入っているのはみっともない」
と言われ金だけ出すからという条件で一人暮らしを始めた。
私はいつものようにベットに寝っ転がり、ケータイをいじっていた。
その時、高橋からもらったタバコを思い出し、カバンから取り出した時そこにメモが挟まっている時に気がついた。
そこには、電話番号とケータイのアドレスが書いてあった。
それと
"また、屋上で暇してたらここに電話してこい”
という一文が書いてあった。
「ふっ…ホントに変なヤツ」
私は箱から一本タバコを取り出してまた吸い始めた。
ある日の午後私はいつものように屋上で授業をサボっていた。
その時冷たいペットボトルが私の頬に触れた
「なんだよ!なんだー高橋かよ!何の用だよー」
「おいおいw呼び捨てかよ、せめて先生ぐらいつけろよな!」
「いや、矢野とか大塚かと思ったんだもん」
「なるほどな、まぁあの先生たちは厳しいからな」
高橋はまた屈託のない笑顔で私の横に座った。
「なんでうちの横に座るんだよ!」
「別にいいじゃんかよ、俺もっとお前と話がしてみたいんだよ」
「なんだよ!いい教師ぶって結局説教かよ」
「ははは、俺は矢野先生や大塚先生とは違うよ」
「じゃあなんでわざわざうちのところに来たり、メモにアドレスやケー番書いてきたりするんだよ」
「おっ!あのメモに気づいてくれたかー」
「そりゃ気づくよ」
「まあ、わざと気づくように入れたんだけどな」
「ねぇ、なんで先生はうちみたいなところに来るの?うちみたいな不良な生徒なんかより
頭のいいやつのところや職員室にでも行ってほかの奴らに媚び売ってた方がいいんじゃねーの?」
「そんなやつらつまんねーじゃん!」
「えっ?」
「だってそんな奴らと付き合っててもつまんねーじゃん。みんな同じことしか言わないし
俺、もともと吉田と一緒でしょっちゅう高校時代はサボってたからな、吉田みたいな奴をみると懐かしんだよ」
「ふーん」
私はそっけない返事をしながら寝っころがり、空を見た。
空は今日も綺麗な青空だ。
私は小さいころから青空を見ることが好きだった。
青空は自分の味方のように感じるからだ
こんなダラダラとした生活が3ヶ月過ぎた頃…
「はい!これから配る紙に希望進路を書いて提出しろ!」
矢野が大声で説明しながらプリントを配っていた
私は珍しく教室にいた。担任の矢野から進路調査をするから教室に来いと言われたからだ。
教室では女子たちが騒いでいた。
「俺にはカンケーねえな」
小さくつぶやきながら進路希望欄を空欄のまま提出した。
放課後、案の定職員室に呼び出された。
「おい!お前本気でこの先どうするつもりなんだ!親戚の方だって高校までしかお金は出さないって言ってんだろ!」
私は顔を真っ赤にして怒ってる矢野を横目に自然と高橋を探していた。
「おい!聞いてんのか!!!」
「んだよ!聞いてるよ!まだきめてねーんだよ!書けねーから空欄にしてんだよ!」
私はいつの間にか高橋に〝好き〟の感情が生まれていたのである。
私は矢野の話をほとんど聞かずに職員室を出た。
帰り道ケータイをいじりながら歩いていた。
ふと、電話帳にある高橋のところを開いていた。
「もしもし…高橋か?」
「おぉー!森か!どうしたんだ?」
「べつに…今暇か?」
「あ…あぁ今仕事終わったとこだ」
「今から会えないか??」
「どうしたんだ急にw」
「別にどうだっていいだろ!」
「ははっ!まぁ怒るな!よし、今からお前のうちに行く!待ってろ!」
「はっ!?おま…ちょ待てよ!うちの家知ってんのかよ!」
「大丈夫だよ!学校で調べていくから。じゃあオレがお前ん家に行くまでの間に部屋片付けとくんだぞ!じゃあな!」
「んなんだよ!まぁいいや」
私は足早に家へ帰り部屋を綺麗にしシャワーを浴びていつも以上に化粧をした。
「よし!これでなんとかなるだろ!」
ピンポーン
呼び鈴の音と同時に私の心臓は飛び出しそうになった。
私扉を開けた
「いらっしゃい」
「オスッ!ほらよ!」
そう言って渡された袋には大量の酒とおつまみが入ってた。
「お前これ…」
「別にお前飲むだろ?だから買ってきた!それよりほら、早く上がらせろ!」
「あ…あぁ」
そう言って私は高橋を部屋に上げた。
「へぇー意外と綺麗にしてるんだな」
「うっせーよ!」
私は、飲まない酒を冷蔵庫にしまっていた。
その時だった。
後ろから高橋が抱きついてきた。
「なにすんだよ!」
「俺お前のことが好きなんだわ、もう無理我慢なんかできないわ。ここで襲うわ」
「はっ!?ちょ…まてよ!」
私の顔は真っ赤になって身体が動かなくなっていた。
そういうと高橋は固まっている私を抱き上げてベットに下ろした。
高橋は静かにキスをして私の着ていたワンピースを脱がせた。高橋は本当に優しくまるですぐ壊れてしまうガラスでも扱うように私を扱ってくれた。
「もう……がまん…できない……入れていいか?」
「うん…」
ゆっくりと高橋の物が自分の中に入ってくるのを感じた。
「うっ…」
「っぁあ」
2人は求め合った何度もキスをし何度もいった
「はぁはぁ気持ちよかった…」
「俺もだ、お前と一つになれてほんとに嬉しい」
それから2人は抱き合って眠った。
久しぶりに夢を見た
私は雲一つない青空の下にたっていた。
横には高橋がいた。
「あぁ…私って幸せなんだ。
心から幸せたって思える人ができたんだ」
それからの私たちは愛し合った
屋上、お互いの家お互いにとって場所など関係なかった。
しかし、そんな関係も長くは続かなかった。
ある日のことであった。
私は高橋と共に校長室に呼ばれた。
お互い覚悟はしていた。
校長室に入ると矢野、大塚、校長がいた
「高橋先生あなたは自分が何をしたのかわかっていますね」
「はい」
「いつから関係があったのですか?」
「3ヶ月前からです」
「わかりました。高橋先生にはやめてもらいます。」
「はっ??ふざけんなよ!なんでなんだよ!」
「森!!座ってろ!」
「教師と生徒が出来ているとほかの生徒達にしれたらあなたがたが一番いずらくなります。
森さんはまだ未来がありますからなんとか卒業までいてもらいますが、高橋先生にはやめてもらいます。わかりましたね高橋先生」
「はい、申し訳ございませんでした。」
「私もやめる。私がやめれば高橋先生やめなくて済むんでしょ?じゃあ私がやめるよ!」
「それで済む問題じゃないんだ」
私は自然と涙がこぼれていた。
「仕方ないんだ森お前は卒業まで学校通えよ!」
そう言って高橋は学校を去っていった。
また、私にあの屈託ない笑顔を見せて。
その夜私は一晩中泣いていた。
次の人私は家にいた。外は私の気持ちとは反対に清々しい青空だった。
「ピンポーン ピンポーン」
「おーい!!森!いるかー?いるなら開けてくれ」
「どうしたんだよ」
「海行くぞ!」
「はっ?」
「いいから行くぞ!」
私は言われるがまま高橋車に乗り、海に行った。
「海には夕日が浮かんでいた。」
「はぁ…俺もうだめだ…お前と一緒にいられないなんて…」
「私ももうどうでもよくなっちゃった…
生きてるのに疲れたよ…」
「「死のうか」」
2人は手を繋ぎながら夕日が浮かんでいる海へ入っていった
2人は幸せだった
たった半年の付き合いだったけどお互い心から愛し愛されたのだから。
Blue Sky