はらむ


 こんな夢を見た。
 朝、ふくろが重たくて布団から立ち上がるのがおっくうだった。もうかれこれ一ヶ月は妊娠しているのだった。パンツを脱ぐと、ぼくのふくろはリンゴのようにふくらんでいて、腿と腿をぴったりくっつけられなくなっていた。ぼくは眠ることにした。もうしばらく大学へは行かなくていいのだった。ふくろの子どもがもうだいぶ育ってきたので、そろそろ長い時間立っているのは辛くなってきていた。歩くたんびにいつちぎれるか気が気じゃないのだった。明日はいよいよ、出産の方法をお医者様に申告しなければならないのだった。ぼくは、いずれスイカほどの大きさになるこの子を、ちんちんから産むか、それともふくろを切りひらいて出してもらうか、決めなければならないのだった。それから、産んだ後の、びよんびよんに伸びたふくろをどうするかも考えなければならないのだった。ぼくは目を覚ました。布団には五百円玉くらいの赤いしみができていた。パンツを脱ぐとぼくのふくろはいつもどおりだった。
 ナプキンは今、家にない。

はらむ

はらむ

お題【「こんな夢を見た」から始まる文章】

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-07-13

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