白い悪魔

第1章

ここは…何処だ?

上空は見渡す限りの夜空
真っ暗な闇が体を包む
足元には硬い土、ここは荒野か?

というか、冷静に分析しているが…

俺は誰だ?

というより…

何だ?

俺は…人なのか?

存在が証明されないとはこういうことか…

そんな事を考えていると視界の端に一匹の鳥が映った
あれはグルエル
確か、飛べない代わりに足が速い

何故か自分以外の情報は頭に流込んでくる

せめて鏡のような…
何か自分の姿を映せるものがあれば…

そうだ、この先に湖があった筈
水に反射させればある程度は…

少し進むと本当に湖があった

成る程、求める物に最も近い物があればそれが知識として反映されるのか…

水面に映る自分を見ると

髪や肌、瞳に至るまで白く、まるで悪魔のよう

服は黒い着物のような感じで足は裸足

そして背中には

左右に五本の骨が突き出て翼のようになっていた

意識を込めると手の指と同じ感覚で動かせる。

大体予想はついていたが…

俺は…

人間じゃあないな…
確実に

第2章

さて…俺が人外と分かった所で…

名前でも決めるか。

普通記憶喪失って名前だけ覚えてたりするんだが…

裏切られたなあ…

名前…名前…

何か…

記憶が戻るまで使うからなるべく良いものを…

翼のある悪魔…
強そうなもので違和感の無い名前…

ここまで考えた所で頭の中に情報が入ってきた

ジズ

陸のベヒモス、海のレヴィアタンと並ぶ空の王

翼を広げれば太陽すら隠すと言われている。

これだ、あまり違和感も感じないし

これからはジズと名乗ろう

そう言えばこの世界はどうなっているんだ?

ほうほう…大陸は一つで周りに大量の小島が存在するのか
言語は…
共通言語か
種族は獣人とエルフと亜人
そして数は少ないが天使と悪魔か

俺は…

ふと翼を見る

…悪魔だな…確実に。

まあもうそろそろ諦めよう

さて…と

どこに行けばいいのだろうか…

幸いにもここから20km程の所にムリグ村という小さな村があるようだ

20km程度なら歩いても着くだろう。

まあ今日はまだ暗いし一度寝るか。

明日日が出ればすぐに行くとしよう

さっき確かめて骨の翼は羽ばたけるが飛べないという事が分かった。

が、一本一本が動かせる為それなりに使い道はあるだろう。

現状で把握できる事はもうないし…

よし、寝よう
俺の意識はここで途切れた。

第3章

眩しい…

朝か…

全く眠った気がしない…

もう一度眠りたいんだが何故か日に当たっていると落ち着かない。

悪魔の特徴か?

そう考えているとまた頭に情報が流込んできた

成る程
悪魔の中には昼夜で魔力の質が変化する種族がおり、大抵は夜に活発になる。

魔力ってなんだ?

魔力とは空気中に存在する魔素という物質を体内に取り込む事で生まれる成分
主に魔法や生命維持に使われる
ただし生命維持に使われる魔力は極めて少量でもいいため、呼吸が止まるなどの事態が起こらない限りは死なない。

まあようするに、息止めてたら死ぬぞってことか。
分かりやすい。

さて…とりあえず考察は止めてムリグ村に行くか。

俺の記憶を取り戻す為にも色んな所を見て回った方がいい筈だ。

というかなんで俺はこんな所にいたんだ?

こんな見渡す限りの荒野に

まあ、気にしても分かる訳ないか。

そうして俺は歩き出した。

終わりの見えない旅へ

白い悪魔

白い悪魔

記憶の無い白い悪魔が記憶を取り戻しながら日々を過ごす物語 暇な人は見てください♪ 誤字脱字あったらごめんなさい(苦笑)

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 冒険
  • アクション
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-06-10

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  1. 第1章
  2. 第2章
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