海の空

文章グダグダです
最後関西弁みたいになってますけどおかしいです

あれは仕事帰りだったかな?
それとも教室で補習をしていたときかな?
いつだったか?
遠い昔のような気もする 
ーでも、、これだけは確かな夕暮れの日 哀愁帯びた茜色。 

「僕はずっと、満たされることのない欲求の中で生きていた
それでも僕はずっと我慢して、
だけど、そいつは納まることを知らない、溢れるだけの化け物だからさ我慢すればするほど
その欲求はどんどん強くなっていくんだ。」

ただそこにいた
それだけの理由で私は、この話を聞いていたのだろう。

「すっげー辛いんだぜ」

少年はそういって笑った。
幼さの残る丸っこい顔だった。

「その日はさ、友達と遊んだ帰りだったんだ
その時のことリアルに思い出せるぜ」

なぜか得意げに言う少年の顔が妙に創りモノじみて見えてほんのちょっと怖いと思ったよ

「空一面が真っ赤で不思議な気分だった。」

それは今みたいな時かな?

そう問いかけた

「いーや、こんなの全然だぜ
あん時のはもっと凄かった
・・・そんで、家に帰るのが億劫になって海に行ったんだ
ほらここからも良く見えるだろ。
海に着いた頃にはもう空は真っ暗になってた
凄かったよ・・・・
海一面に星が浮かんでるんだ
噓だって思うだろ?でも本当なんだよ。」

海に星?
そんな事が現実にあるわけないだろと思いながらも私は少年の話を否定することが出来なかった
それはなぜかだって?
・・・・少年の話に懐かしさを感じたんだよ。

「僕のこの満たされることのない欲求が満たされると思ったよ。
そこから僕は防波堤に向かった・・・
この星空の中を泳いで見たいと思ったんだ。
防波堤が思ったより高くてそれにまた興奮してさ、」

嬉しそうにはにかむ少年のその顔が今も脳裏にこびりついてるよ

「死ぬとかそんなことこれっぽちも考えなかった
少し助走をつけてから星空の中に飛び込んだ
ざっぶ~んってな
心地よかった。泡が僕を包んでいて、今まで我慢していたものとか欲求がどうのとか何もかもがどうでも良くなったんだ。」

その体験を私もしたことがある
でもいつのことか思い出せない。

「いつのまにか水の底のほうに沈んでた
背中が底に触れたと思ったんだよ
でもさ本当は底なんてなくて・・・・・・・空があったんだ
真っ青な空が。
僕、そこで女の人に会ったんだ
黒い髪の綺麗目の人だ
・・・ねぇ先生?ここまで言ってまだ思い出さない?」

少年はニッコリ笑うとそれ以上何も言わなかった
ただただ時計の音だけが響いていた

不思議なもんだよ
今まで思い出せなかった昔の記憶がストン、と私の心に蘇ってきたのだから
初めて彼女と出会った日 初めて彼女とデートした浜辺 プロポーズしたあの日。
だけどその後すぐに彼女はいなくなった

・・・・ーそうか、少年の出会った黒髪の人というのは彼女の事か
星空の海も、泡に包まれる記憶も、海の中の空も全部私が彼女に話した物語だ

私は少年の顔を見て問いかけた。

その黒髪の人というのは・・・×××か?

少年はニヤリと笑みを見せると

「そうだよ先生、思い出すの遅すぎだよ
僕は彼女に伝言を頼まれたんだ~
えっと・・・・欲を忘れずに新しい出会いを大切に?だったかな」

あやふやな伝言を伝えると少年は

「じゃ、僕はもう帰るね」

そう言って私に手を振るとカーテンの中に消えていった

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彼は話すだけ話すと、用を足しに席を立った

「なんやメルヘンチックな話やんな」

独り言のように本音を吐いた

彼は何を願ってこの話をうちにしたんやろうか

まぁ、そんなことはどうでもええわ

・・・・自分の注文したお茶代くらいは置いてって欲しかったな

海の空

なんとなく思いついた風景をまとめて書いた感じですね~・・・

海の空

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-07-02

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