入り込む俺たちの放課後

お願いっす、これを読む前にせめて「変わる俺たちの放課後」を読んで下さい!
その方が展開分かりやすいですから

 結果的に美羽さんの家に来たわけだけど、なんででろう、自然と絶望して来る。
「四階建ての一軒家とか、貧乏な俺を精神的に殺したいの?」
「ち、違う。私、誰かを家に誘ったの、これで初めてだから・・・」
 まあ確かにそんなに無表情だと近寄って来る友も寄っては来ないだろうな、生憎。
「でも、友達がいない訳じゃない。こんな大きい家に誘ったら、自慢してるみたいだってみんなに嫌われちゃうかなって思うと、勇気が出なくて・・・」
 友達を誘いたくても誘えないなんて、自分の家にいる時は独りぼっちで寂しいんだな。
「お前もいろいろと辛いことってあるんだ」
「ダイチ、何か勘違いしてる」
「え、そう?」
 家政婦でもいるのかな?
「むしろおかしな家政婦があまりにも多すぎて迷惑」
 おかしいとか、お前、人のこと言えねえだろ。それに俺の顔見て会話成り立たせるな。周りから変な眼で見られるぞ。
「ここは私の家だから変な眼で見られることはない。それより早く家に入る方が先」
「それもそうだな」
 また考えを読まれた。もうここまで来ると開き直るしか選択肢がない。
そんなことを考えていてもらちがあかないので、美羽さんが鍵で開けた大きな門を俺はくぐった。
「ちなみにこの門は、入る時も出る時も鍵がいる」
「俺をここに監禁する気!?」
 いよいよ鳥肌が立ってきた今日この頃。
「監禁はしない。それより家に入ろうよ」
 無表情で言われても気持ちが伝わって来ないけど、今は置いておこう。家の中がどうなってるのかも気になるし。
 そうやって美羽さんが家のでかいドアを開けると
『お帰りなさいませ、お嬢様』
 流石は金持ち、メイドと執事が交互に並んで完璧な礼をしてる。
「みんな堅苦しい。後、彼は新しい友達」
 無表情のお前が一番堅苦しいってんの。
「あれ、ミューの彼氏?」
「ち、違うけど、そうなる予定」
 あれ、何かメイドの一人が友人らしき接し方をしてる。話の内容は聞かなかったことにしよう。
 さっきのメイドがこっちに声をかけて来た。
「初めまして、私はミューの友達で、ニックネームはイー○イ」
「ポ○モン仲間!?って美羽さんは友達を家に誘ったことなかったんじゃなかったの?」
 頭が混乱してきた。
「私は友達を家に誘ったことはないけど、イブは私が下校するとき、勝手について来た。それこそストーカーのようにむぐっ!」
「い、いやあ。ちょっと最後の方は禁則事項ね。でもミューって自分のこと隠そうとするから、つい気になっちゃって」
 てへっ、と言いながらイブさんはウィンクした。この人、相当ヤバくないか?ってか美羽さんの口を離してあげようよ。
「で、イブはイー○イの省略でいいんですか?」
「合ってるわよ。って、ミュー、ちょっと動かないで。あ、ゴメン、口塞いでた」
 てへへ、と言ってイブは下を出した。
「全く、イブはいつも迷惑かけて来るから家の場所知られたくなかったのに」
 美羽さん、無表情でもその気持ちはしっかりと伝わって来る。

入り込む俺たちの放課後

この「俺たちの放課後」シリーズが学園祭の出し物になることが決定しました。
学園祭はもう来週!かなり忙しかったわけで、これを出すのもギリギリになりました。
でも、同じものを九十回印刷するのは結構プレッシャーのかかるものです。
売れるかどうかが楽しみな、涼木直人の次の作品も心待ちにしていただけると何よりです。

入り込む俺たちの放課後

俺の日常、崩壊してないか?

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-06-09

CC BY-NC-ND
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CC BY-NC-ND