さらば、愛しきマリオネット
さらば、愛しきマリオネット
過ぎ去っていく電車。自分と似ている顔の住人たちは夕暮れの街の中ざわめきながら夢を見ている。遮断機が終わりがないように落としている。それで誰かの歌を見つけようとしているが本当はたそがれた物語を探している。僕はまるで違う世界の中から歪んだ場所に行進し、逃げて来ているのだ。
君の事を探している。そうだ僕は君を探し続けている。季節が幾度も押し寄せても僕の目の前から居なくなった君は吹き抜け行く風の様に去っていく。見つけたいのだ。君を。僕はまるで夢の中をさまよっている。こんな別れが来るなんて思っていなかった。二度と君に触れられないなら君に出会わなければ良かった。でもやっぱり君の温もり優しさ忘れないよ。君がいたから進んで来れた。燃える様な星座、張り詰めた僕の自尊心も溶けていく。
さよならさよなら。
君と出会って僕は輝いて僕は生まれた。細いこの目を細めてさらに細めて、君を探してくすんだ綿雲をキャッチする。
イェー。
柔らかい永遠。このまま飛び立てば約束の場所に導かれるだろうか?冒険者の日々にブランコを揺らしてほんのちょっと伝えたくなる。ずっと君を探していた。僕が影で君は光。行先のない地図とシナリオを持って記憶の道を何度も歩く。伝えたい、愛おしすぎて愛おしすぎて、でもやっぱり僕はそう言うの柄じゃないね、嫌だよ。
胸に抱く君への言葉、微熱と鼓動。一度気づいた君へのあふれた思い。迷いのなかった君の笑顔、優しいセリフ。僕も優しい気持ちになる。君の記憶に僕がいますように。
当たり前の日々だった。どんなに世界がカタチを変えても僕は後悔しないよ。君と出会えた奇跡は。幸せだと感じる瞬間。きっと全ての人が望んでいる幸せ。僕の周りに大きな壁が出来ても君がいれば、遠くに離れていても僕は乗り越えていける。そしてその壁をありのままに受け入れるよ。
何時までも、何時までも。
この長い鼻は時々、石になる。悲しい事に負けない君がいれば聞こえる幸せの歌。ちょっと頼りない君。いたずらに君が慌てる瞬間、困らせたくなる。もしも僕がつまづいたら君の笑顔を下さい。交わした約束、忘れないよ。そしてこれからも進み続けるよ。
君が僕を造ってから二千年と半年が過ぎた。僕は一本の木から君の麗しい手によって造られたよね。目を覚ますと君の優しい笑う顔と僕と同じ木で出来た人形が並んであったね。君は一介の大工に過ぎないと言っていたが卓越した技術と知識を持っていた。君は僕と遊んでくれて色々教えくれたね。
そしてあの日、君が家を出てからと言うのも僕はずっと待ち続けたけど、君は中々帰って来ない。僕は二度と君に会えないそう思っていた。でも君に会いたくなってこの家を出た。それからずっと君を探し続けている。
僕は永遠に君を探し続けるだろう。
ただ、あの日、あの時、僕に向かって、
さらば、愛しきマリオネット
そう言ってくれたなら僕はすでに朽ち果てているだろうに…
さらば、愛しきマリオネット