スキになるのにリユウはいらない

スキになるのにリユウはいらない

『お前なんかいらない』




やめてよ、また泣いちゃうよ




『なんでそんなにあなたはできないの』




そんなこと、言わないでよ




『本当にいなくなっちゃえばいいのにね』


みんな、ひどいよ、なんで、どうして



いつも君に向かってくる言葉は、罵倒ばかりだった。

僕は知ってるんだ。

ずっと君のそばにいたから。



君はただ、普通に生きていたいだけだと言った。




小学校の頃の君は、ずっと生きているのがつらいって言っていた。周りに味方なんていない、敵だらけだったって。

同級生も、先生も、家族も、みんな、みんなみんなみんな、敵に見えてしまうって、泣いていた。


君は、孤独だった。


僕がいるよって、言ってあげたかった。



でも僕は、動けないから



僕は、話せないから



僕は、君に、なにもしてあげられないから。




友達だと思っていた人に、大嫌いだと言われて、


ダイスキだった先生に、裏切られて、


信頼していた両親に、傷つけられて



好きだった人には、もう一生会えない。



君は僕に向かって、ずっと、ずっとそう言って泣いていた。



そりゃ、君よりつらい人なんてたくさんいるっていうことも知っていた。

僕だってそのくらいの常識、わかってるよ、わかってる。


君はまだ幸せな方なんだっていうことも、わかっている。



でも、それでも、僕は君が泣いているのを見たくなかったんだ。




あるとき、君は彼の言葉を聞いて泣いてしまっていた。





「つらかったね」



君は、ずっと嬉しそうに泣いていた。




君は、ずっと、誰かに、つらかったねって、言ってほしかったんだね。




僕じゃ、君のこと、そんな顔にさせてあげることはできなかった。




良かった、君の笑っている顔が見られて。


良かった、君に安心できる人ができて。





本当に、本当に、僕は、君のことをーーーーーーーー・・・・・・・・・・・










「ただいま~!」


あれから、何年もたった。


小学生だった君はもう大学生だ。




「今日も笑い疲れた!って、ちょっと汚れてきちゃったかな・・・今日一緒にお風呂はいろっか」



今では君の周りには人がたくさんだ。



もう何人もこの目で君の友達をみたけど、どの人もいい人そうだった。


明るい子、おとなしい子、少し変わった子・・・。




その人たちといると、君はいつも笑顔なんだ。


君の笑顔を見ていると、僕まで笑顔になってしまう、・・・笑えないけれども。





もう、僕がいなくても、大丈夫だね。



君はもう、一人じゃない。



「・・・いつもありがとね」

「なんて、人形がしゃべるわけないか!さ、ご飯作ろー!」





僕は、君というご主人様がダイスキだ。



何故かって、






きっと好きになるのに、人形だとか、ヒトだとか、関係ない。




理由なんて、いらないんだと僕は思うんだ。





これは、そんな、とある日のお人形の物語。

スキになるのにリユウはいらない

短編です。なんか詩みたいになりました。
みじかくてすみません・・・。気まぐれで書きました。シェフの気まぐれ小説でございます。

自分でも気付かないうちに傷ついてることってあるんです。
自分以外の誰かが、それに気づいてくれているかもしれません。


私の大好きな彼や、理由ばかりが気になっていた私に、「好きになるのに理由はいらない」と言ってくれた私の友人に感謝の気持ちを込めて。

そしておもっていたより画像がでかい!!!!!!!

スキになるのにリユウはいらない

すごくすごく、短編です。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-30

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