家まっしぐら
気ままに生きる三十代。
掃除機をかけていると、犬が噛みついて離れない。
朝、三階にて起床。
おざなりに敷いた布団の下で、本の山が崩れた。
世の中に読みたい本はまだまだあって、私はまだ一端しか読めていない。
そんなことより音楽聞かない?と本能が訴えるけど、文学と音楽は共に成り立つもんでしょう、と私の理性が活字を求める。
別に流行ってもいない本を、ありがたがって読む。
お金は使わないと決めたのさ。
そう考えて、熟読する。
こないだヤフオクで50冊まとめ買い、送料込みで1700円を買ってから、それを読破するのに必死である。
なかなか渋いラインナップ。どこの本の虫のものだろう。
しばらくすると、外に出る。
カッと暑い日照りの下、買い物を済ませてしまい、帰ってくると「やりきったー」という気がして、頭に血が上り、炭酸を飲んで落ち着く。
やっぱり家が一番だわ。
食料をぞくぞくと冷蔵庫に詰め込みながら、「冷蔵庫サンキュー」とドアを閉める。
なんて偉大な発明だろう。これがあるからいつでも冷たい何かを食べたり飲んだりできる。
早速菓子パンを取り出して、ビタミンCマッチを飲みながら犬にいりこをやる。
それからヤフオクを覗いたり、ゲームをしたりして過ごす。
犬がのそのそとそこら辺を嗅いで回ったり、可愛く伸びてこちらを見ている様子を写真に撮り、アプリゲームに興じる。
クーラーを点けてひんやりした部屋の下、やることもやったし何もすることがない。
うつらうつらと舟をこぎ、気が付いたら犬に寄り添われて眠っていた。
アイフォンを開くとゲームは途中で負けていた。
西日が差すころ、みんな帰ってくる。
そろそろ二階に下りるか、と私はクーラーを消し、洗濯物を取り入れた。
水をやった植物の発展が目覚ましい。
当分、母に奉仕しますか。
そう思い、今月分の稼ぎをすべて献上することを誓った。
貯金は若い内ならいつでもできる。
今はただ、奉仕の時よ。
そう考えて、いずれそれが福となって帰ってくるのだからと、私は欲を断つべくメディアを楽しむことにした。
こもりっきりの自室にて、述懐。
家まっしぐら
ま、こんなもんです。