優しく生きること

優しいとは、へりくだることではない。

できうる限り、取り組んでみようじゃあないか。

この世の中、親切心を武器にしてしたたかに生きる人もたくさんいる。
優しい言葉を吐く人ほど、実は悪意に満ち溢れていることもたくさんある。
そんな世の中で、私はどれだけ人を許していけるだろうか。

過去に、人に優しくされた記憶はたくさんあって、数えきれない。
しかし私は、その強い部類に入る人たちに気圧されてしまい、どうしても応えられなかった。
それは今日までの私への恨み辛みとなって形に表れている。

私は、人が思うより、自分に自信がない。

見た目は、はっきり言って、八頭身。羨ましいと人は言う。
しかし、予想に反して、頭はぶつけるわ、動作は荒いわ、自信はないわ。
知らない人に「自信たっぷり」と言われると傷つく。それだけ気弱である。
背の高い人とは背が高いというだけの者であって、なんら特別な感情など持ち合わせていないのである。
なのに自信を持ってるとしたら、それは持て囃されるだけの場面の多いモデルさんとかなんかだろう。
私は生粋のインドアの文科系だ。たまにジョギングくらいはするが、それも健康管理の一環であり、全然自慢じゃない。しなきゃやってられない精神状態を有しているという負の面が強い。

好きなものは、というか残されたものは読書。それしかない。
それもできない人がいるというが、それはないだろう。読書とは万人に共通の暇つぶしであり、できない時点で既にそれより恵まれた趣味を持つということだ。
私は友人がいない。どうしても人間におえっと来るところがあるし、それに該当しない魅力たっぷりの身内はたくさんいるが、それ以外にはどうしても心を開けない。
犬が友達の寂しい奴。情けなや。

喋りはめっぽう得意。小説を書くくらいだから、奇抜な発想もできる。頭はいいと言われるが、目先の小石が見えずつまずくこと多々あり。
祖母に言わせれば、「阿保の一つ覚え」
恥をかく面はたくさんあった。今じゃうるさいから黙れとよく言われる。

先にも書いたが、私は元来、当たりが柔い。
なので、うっかり気が弱いと舐められ、頭の悪い底意地の悪いのにたかられることがよくある。
しかし気骨は隆々としていて、咄嗟的に攻撃し、回避することは可能である。
気が荒い面もあるにはあるのだ。ありすぎて人生の危機を脱したほどである。
あのときは怖かった。しかし負けてられなかった。
これはこれで良い面だと思うことにしている。

何故に、強く出る必要があるだろうと私は思う。
そんなことより、主張せず、ただ黙々と目の前のことをこなし、人の分も仕事をし、細々とでも続けていくことの気の長さの方が大事なんじゃないかと思う。
というのも、過去に先に書いた頭の悪い見栄ばかり気にする人間として最低の部類の人間どもに、私は今までこてんぱんにやられてきた。
しかし怒りの沸点が確実に低い位置にある私は、笑って受け流したり、無の境地になって向こうが勝手に自滅するまで待つというスタイルで押し通してきたりと、意外と骨太なタフな面を持ち合わせており、しかしそれはなんら評価を得なかった。

見た目とか、気の強さとか、相手をどう出し抜くか。

そんなことばかり気にする小さな田舎で、私は確実に埋もれていた。
見た目なんて、それなりにすればいいものだし、構えば誰だって輝ける。

そんなもんより大事なもんがあるだろう。相手が優しいからと言って調子に乗る自分を恥じるという概念はないのか。

こんな主張を私はしたいわけだけども、もはやこの世は手遅れである。
しゃーない、こちらの器のでかさを示すしかない。
自分で書いて恥ずかしいものだが、私の器はでかい。
ただそれにより得をする者はいない。私は何も与える気がない。
強いて言うなら、助言するのみだ。

物を恵んでもらうことほど、恥ずかしいものはないのだから。

だから、他人に甘えてはいけないと教えてくれた母には感謝の念しかない。
今までの堕落した自分を恥じる。
私に起こった災難など、自分から寄せただけのことである。

本当に、いつでも天の助けはあったのだ。
ただ、それを活用する術を私が持たなかった。

私は別に優しくないし、必要以上にへりくだると宣言しているわけでもない。
ただ、自分に課題を付けたく思い、これを書いたのだ。

もう一度言う。最低な人間はいらない。
私は人間嫌いなのだ。

しかし私が口を利きたいと願う人たちは皆、魅力にあふれている。

だからこそ、私は優しく生きようと思う。
何もできない代わりに、後世の者に助言をしていこうと思っている。

優しく生きること

なんかの宣言です。

優しく生きること

まことに優しいとは、どういうことだろう。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-26

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