夏空

夏空

積乱雲が揺れて見える。自分の周りを川で遊ぶ子供や落ち着いた年齢の人たちがランニングをしたりしていた。
河原で空を眺めていた僕は「暑いな」とつぶやき体を起こす。
澄み切った夏空はどこまでも続く、いつまでも変わらずに。

白く積もる雪、きれいに言えば白銀の世界と言うやつだが、僕からは埃が舞ってるとしか思えない。
「何で今日に限って雪が降るかなぁ」とぼやきつつも、ある場所に行かなくてはならないので、外に出て空をにらんでから目的の場所に足を向ける。
しばらく歩くと僕と同じ目的のやつが緊張した面持ちで白い息を吐きながら急ぎ足で僕を抜かし先に行った。
”佐童学園”ここが僕の目的地だ。その広い敷地の中でも用があるのはグラウンドに設置されたボードに書かれた数字だけ。遠くからボードと僕が持ってる紙とを見合わせて目的の数字を見つけたのでさっさと帰ろうと後ろを振り返った。
「すいません!!」
振り返る際に誰かにぶつかってしまったようだ。彼女はニット帽に雪を積もらせ、右手にはしわくちゃになった紙を持ち、目には涙を浮かべていた。
彼女を見たとき僕は言葉を失った。僕はこの人とどこかっで会った気がする、それはいつだっただろうか。
思い出そうとしたがやめた。「あほらしい」そう心でつぶやき、僕は帰路についた。

夏空

夏空

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-26

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