大嫌いな『雨』が

アナタに出逢ったあの日から

大好きな『雨』に

かわった‥

6月11日


ザァアアア‥

憂鬱な雨が続く6月。

わたしは、傘もささずただ走り続けた

ハァハァ‥ッ

わたしは春野翼(はるの つばさ)16歳

現在東高等学校の二年生。

家庭環境は悪く、学校でも心を閉ざし誰とも深い関係を持とうとしなかった。

少し雨が小ぶりになってきたなぁ‥


わたしは足を止めゆっくり歩きだした。

近くの公園に入り、大きな木の下にあるブランコに座った。

ここなら、雨があまりあたらない

わたしたち家族は父と母、そしてわたし3人で大きな一軒家に住んでいた。わたしたちはとても中がよかった‥

でも、あの日の事故からわたしたち家族はバラバラになった。


あの日も今日みたいな大雨だった

一年前


最近父の帰りが遅く、母と父はよくケンカをするようになった‥

ガチャ‥

玄関の音がした

パタパタ

母は玄関にむかい

「あなた‥今日も遅かったのね‥」

父は面倒くさそうに

「仕事なんだからしょうがないだろう。飯は要らない。」

そのあと母のすすり泣く声が聞こえた‥

わたしたち家族は壊れかけていた

次の日の夜、うちに一本の電話が来た。


プルプル‥プルプル‥

「翼ー?お母さんご飯の支度してるから、電話出てくれる?」

返事をしたあと、受話器をとった

「はい、春野です。」

「東口警察署のものですが、娘さんですか?」

え‥?

「‥はい」

「お母さんにかわってもらえるかな?」

「はい」

わたしはお父さんに、なにかあったんじゃないかと直感した

「お母さん‥警察の人から電話が‥」

母は急いで受話器をとった。

「はい‥」

しばらく話し込んだあと、電話を切った


母はその場に崩れるように座り込んだ‥

わたしは、急いで駆けつけた。

「お母さん!」

母はわたしの肩を抱き顔をくしゃくしゃにして「ごめんね」と何回もあやまり、泣いた。

わたしは何が何だかわからず呆然としていた

母は落ち着きを取り戻し、真っ赤な目でわたしを真っ直ぐ見た。

「お父さんね‥事故にあったんだって‥」

落ち着いた声で話しだした。

父は事故にあって死んだそうだ。


警察の人に詳しく事情を聞くと‥

隣には知らない女の人‥つまり父の浮気相手が乗っていた。その人は軽傷で助かったそうだ。

そして、父以外にもう1人亡くなったと聞いた。

雨でみにくいせいもあったのか、信号の無い横断歩道を渉ろうとしていた少年に築かず、築いた時に避けようしたが遅かった‥

少年を跳ねたあと、父はハンドルを取られそのまま電柱に激突し、打ちどころが悪く亡くなった‥


その少年は16歳、今のわたしと同じくらいで亡くなった。


母はその少年の家族に必死になって頭を下げ続けた

そして、この街には居られなくなり

わたしと母は遠くの街に引っ越した。

それから、母は変わってしまった‥


一年後

母は寂しさを紛らわすためか、いろんな男をうちに連れ込むようになった‥

わたしが家に帰ると母は男と寝ていた。

「あらぁ、帰ってきてたのぉ?」

「うん‥」

母は面倒くさそうに、財布の中から一万円を取り出しわたし押し付けた。

「‥‥」

わたしが黙って立っていると、母は灰皿を投げつけてきた。

「‥っ」

わたしの左肩に当たって、床に落ちた。


母の隣に居た男がわたしに近づいてきた

わたしは怖くて動けなかった‥

男の手がわたしに触れようとする

触るなっ!汚い手でわたしに触るな!

声にならない声で叫んだ。

「なぁに、この子怯えてる?」

男の下品な声は耳に気持ち悪く響いた。


わたしは睨んだ

母が大声で笑っている

「ねぇ、その子いくらで買う?」

え‥?

目の前が真っ暗になった。

お母さん‥なに言ってるの‥?


わたしは糸が切れたみたいに勢いよく走りだした。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-06-08

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted