花の想い第二章「雨降り(2」

前回の話の男の子視点のお話です。

今日は雨が降っている。
雨はあまり好きじゃない。傘さしてても服は濡れるし、寒いし気分も下がる。
今日だって学校あるのに寝坊して、家でたら雨降ってるしでも急がなきゃ遅れるし・・。
まぁ毎日といっていいほど学校はサボってるからあんまり関係ないんだけど。
「はぁ。にしても休むつもりなら急がないで傘もってくるんだったなー。びしょ濡れだ。」
最悪だな・・・。
「仕方ないな。雨が止むまでこのへんで雨宿りでもするか・・・。」
僕は近くにあった屋根の下に座る。
「にしてもホント最悪。濡れてるから余計に寒いなぁ。風邪ひきそう・・・。
僕は気持ち悪いほどにブツブツと独り言を言う。
この癖直さなきゃな。周りから変な目でみられるのは嫌だしな。
「はぁ・・」
溜息が一つ。
そんな時。
「・・・・・?」
僕の目の前に小さな花が咲いていることに気づいた。
(花というよりこれは雑草なんだろうけど。)
僕はその雑草が気になって手を伸ばす。
屋根から体が出て雨に濡れているがその雑草に夢中で気にしなかった。
「きれいだ。」
自分でも驚くようにそんな言葉が口から出ていた。
あまりこういうのには興味ないのだが、その雑草は僕にとって特別なものに見えた。
どこにでも咲いているんだろうけど、僕には見蕩れてしまう程綺麗に見えた。
不思議な感覚に包まれた気分で、また独り言まで初めて。
「・・・・不思議だな。どうして君みたいな綺麗な花がこんな地味なところに咲いて雑草なんて呼ばれているのか。僕には分からないよ。」
その花をなでるように触りじっと見つめる。
(~♪)
(・・・・・・・・・・・え?)
「・・・?変だな・・。今君が笑ったように見えた。」
僕が花を撫でた途端、そう僕には見えた。
思わず僕の顔から笑みがこぼれた。
なんだ・・・。今日は最悪な日だと思っていたけどそうじゃなかったな。
いつの間にか雨は止み雲から太陽が顔を出していた。
「君を見て少し元気が出たよ。雨も止んだし。また明日来るよ。」
僕はその花に手を振るようにしてその場から立ち上がる。
まだ服や髪は濡れているけどもう少ししたら乾くだろう。

今日は雨が降った。
雨はあまり好きじゃなかった。
だけど・・・・
雨のおかげであの花に出会うことができた。
少しだけ、僕は雨が好きになれたような気がした。

花の想い第二章「雨降り(2」

続きます。

花の想い第二章「雨降り(2」

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-06-06

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