勇気

嫌な音といっしょに白い服は黒色に染まった。
ポツポツと、部分にだけ染みができたので、まるで腐ってしまったようだ。

一言怒ってやろうとお盆を手にする彼を睨み付ける。
大切にしている服が汚れた
そう告げると彼はやれやれといった風で厨房へ引っ込んだ。そしてすぐに真っ黒なジュースの入ったグラスを持ってきて、頭の上にそれをそそいでくる。
顔にまでしたたるジュースに口を開けていると彼はとても愉快そうに喋った

「きれいなお顔ですね」

服はいつの間にか真っ黒に変わっていた。

勇気

勇気

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-21

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