私にとってのラスボス

・・・彼氏にはどうしても忘れられない女の子(ラスボス)がいる・・・

■□ 過去 ■□

 私には付き合ってちょうど3ヶ月目の彼氏がいる。
付き合って3ヶ月だが長く友人関係にあったので10年近くの付き合いになる。

 彼と出会ったのは子供のころでそれもあまりよく覚えていない。
友達の友達の友達ーとかでみんなで遊んで仲良くなった。
いつしか私のほうが恋に落ちていたが想いがかなうことはなかった。

***

 告白を決意したのは中学三年のバレンタイン。卒業を間近に控えた私たちはこの時期は告白ラッシュだった。
私も例に漏れず手作りのチョコとクッキーを持って隣のクラスの彼の教室へ。


 「好きです!付き合ってください」

 ドアを開ける前に聞こえてきたのは隣のクラスではおとなしくてまじめそうな女の子の少し震える声だった。
「ありがとう。俺たち付き合っちゃおうか」
 聞こえてきたのは愛しい愛しい彼の声。

 そこにいるのは私のはずだった。

 そう、紛れもなく私にとってのラスボスは彼女なのだと後に痛感することになる。

私はドアから後ずさりし自分の教室へ戻った。
自分の席に座ってあげるはずだったチョコレートとクッキーの包みを破った。

 「おまえ、まだこんなとこに・・・って・・・え!?泣いてるの??」
隣の席に座っているバスケ部男子がジャージに着替えて荷物を教室に取りに教室へと戻って来た。
「あ・・・食べる?毒は入ってない。味も手作りだけど保障する。ほんとは・・・ほんとは・・・」
「あー渡せなかったのね。腹減ってんだわ。食っていい?」
「どうぞ」
「おいしいな、これ。もう一個もらっていい?」明るく振舞っておいしく食べてくれるのがうれしかった。
あまりに『おいしいおいしい』とほおばってくれる姿がおかしくて泣いていたのにいつの間にか笑顔へと変わってた。

普通ならここでこのバスケ部男子を好きになっちゃう展開なんだろうけど
私はそうじゃなかった。
 中学を卒業しても女子校へ進んだ私は愛しい愛しい彼のことを忘れられずにいた。

■□ バスケ部男子 ■□

 卒業して春休み期間、私と私の友人(女)とバスケ部男子とその友達(男)の4人で元中の吹奏楽部が主催している定期演奏会へ行くことになった。
私は以前少しだけ吹奏楽部に所属していたこともあったので正直複雑な気持ちもあったが、恩のあるバスケ部男子に恩を返したいと思っていた。

 バスケ部男子が恋をしている相手は吹奏楽部の女子だという。どうしてもその女子の最後の舞台を見に行きたいから一緒に来てほしいと頼まれた。
当時はLINEもなかったので代わりにメールをする仲になり一日に何件もやり取りをした。当日の服装だとかお花をいつ渡せばいいかといったこととか、主に恋愛相談によく乗っていた。私はたまに彼に相談したけれど「早く忘れられるくらい、いい男性となかよくなれるといいな」と友達として心配してくれていた。

 バスケ部男子は中学を卒業後テニス部男子へと進化していた。
テニス部男子となった彼は初試合を見に来てほしいと私を含めた女友達3人で試合を見に行ったりもした。
結果は彼の負けだったがその進化は大成功だったと思う。
 それから徐々にテニス部男子とは距離が開きなんとなく連絡もとらず会うこともなくなってしまった。

彼が今何をしているのかもわからない。
幸せになってくれているといいなと心底思う。

私にとってのラスボス

私にとってのラスボス

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-19

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  1. ■□ 過去 ■□
  2. ■□ バスケ部男子 ■□