盲目少女の嘘と罪
ある時、少女は嘘を言いました。それはとても小さなことで、誰も気に留めないと思っていました。しかし、少女の予想は外れ、周りの人たちは大慌てしました。誰もその少女の言ったことが嘘だということに気づかず、ただ慌てるだけでした。少女は訂正をすることもなく、ただその様子を眺めているだけでした。眺めながら少女は不思議に思いました。何を慌てる必要があるのか、と。
少女は嘘を言いましたが、それが全て偽りというわけではなく、事実をほんの少し変えているだけでした。少女は本当のことを言うべきか考えましたが、悪いことをしたわけではないとそれをすることはありませんでした。少女には理解できなかったのです。
何故、慌てているのか。何故、慌てながら泣いているのか。自分の嘘がそんなに傷ついたのか、それとも泣くほどに嬉しかったのか。
少女にはわかりませんでしたが、ただ笑っていました。すると余計に周りの人たちは泣くので、少女は困惑してしまいました。時に少女を責めるようなことを言いましたが、少女は困惑するだけでした。
空いっぱいに星が輝くような夜、少女はそれらを見ていました。自分もあの星たちの一つになるのか、と言うと周りの人たちはやはり泣くのでした。また泣かせるようなことを言ってしまったのかと少女は反省しましたが、周りの人たちは少女を責めはしませんでした。ただ少女を見て、泣くばかりでした。よくわからない少女はまた困惑するだけでした。
とうとう少女の言った嘘を知られてしまう時が来てしまい、少女は怯えました。怒られないように隠れようとしましたが、体が鉛の様になっていて動かすことができませんでした。周りの人たちは少女を叱るようなことはせず、真実を知った人たちはただ悲しみ、少女を心配するだけでした。安心した少女はいつものように笑い、言いました。自分もあの時に見た星のようになるから、心配はいらないと。少女はそれだけを言うと、静かに目を閉じました。
盲目少女の嘘と罪