黒い診察室

病気になったある男。診察した医者からの答えは…。

病気に悩む男が診察してもらっているだけのSFショートストーリーです。

「それで、今日はどうしましたか」医者は目の前に座っている丸々とした顔の男に尋ねた。
「最近、身体が細くなって咳も止まらないんです。熱もどんどん高くなって困ってます」
「確かに顔が青白いですね。ちょっと、身体の中を調べるので、口を開いてください」医者は大きく開かれた男の口の中をライトで照らし、細い吸引機で何かを採取し、顕微鏡で観察し診断を下した。
「これは、獰猛な菌にかかりましたね」
「え、治らないんですか」
「確かにこいつ等は種類も多く、色んな場所に寄生して身体を蝕みますが、ほっとけば、勝手に死滅しますよ。ご安心ください」
「それで、どのくらい掛かりそうですか」
「ちょっと良いですか」医者は了承を得て聴診器を背中に当て音を聞いた。
「皆殺しだ。隣の国を根絶やしにしろ」
「仕方ない。新型殺戮兵器の使用を許可する」医者はその後も身体の色んな場所の音を聞いて笑顔で答えた。
「ご安心下さい。もうすぐで勝手に死滅しますよ」
「良かった。これで今日はゆっくりと寝れますよ」男はお腹を擦りながら診察室を後にした。
「それでは、お大事に。じゃあ、次の火星さんどうぞ」

黒い診察室

黒い診察室

病気になった男が診察を受けるだけのSFショートストーリーです。

  • 小説
  • 掌編
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-11

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted