落ちなーい

いざ行かん、ぷるぷるの世界へ。

わー、落ちなーい。

ここの名物、ぷるぷるプリン、ひっくり返してもあーら不思議、水の遠心力で落ちないんですねー。

そんなうたい文句につられ、暇だった私はそのぷるぷるプリン桃味、という微妙なセレクトをし、買った。
家に帰り、まずコロコロを絨毯にかけた。
昨日上司に言われた言葉。

荒木田さん、結婚しないのは個人の自由だけど、若いもんにツバつけるのはやめてくれないかな。

皆おびえてるよ、と言われ、私は我に返った。
仲良く話してるつもり、だったのだ。そんな、下心なんて、と私は憤り、憤るついでに泣いて見せ、見事部長を悪者に仕立て上げ、篭絡した。
転んでもただでは起きないのが私なのだ。

この間知恵袋にこのことを書き、私が悪いんでしょうか?と書くと、あなたが悪い、この年増女が、と来たので、ごめんなさい、書けないようなつらいこともあったけど、ちょっと強がっちゃったな、お目汚しでしたよね?と相手を見事貶めて、私はすっとした。

コロコロをかけ終わり、洗濯物を畳んだところで、私はプリンを用意した。皿にプルりと出してから、身構える。

いざ行かん、ぷるぷるの世界へ。

くるりとひっくり返すと、プリンはつるんと皿を滑り落ち、べちゃっと潰れた。

嘘ばっかり。と私は半泣きになった。

落ちなーい

テレビを見ていて。

落ちなーい

悪い思いつきです。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • SF
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-08

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted