無数の泡の隙間から

無数の泡の隙間から

無数の泡の隙間から
綾なす糸の裏目から
しるし若芽にいろづきて
畝り流れ出づ
おはよう。 おまえの名はアルファ。
もっとも憐れで、もっとも希望に満ちた
はじまりの色だ

わたしたちは知る由も無い
雲霧に隠された軌道の遥か先に
おまえが落とす一滴の雫など
麗しき愛児よ 導くがいい
純朴なる礎の原理を暴く境地へ

羨望は偉大なる扉
跳躍の思考に耳を澄ませば
ひとつ悲しむべきは
四本の鎖で繋がれたいのち

わたしたちの掌の裏に
無を超えた
無限数を超越した場所に
おまえはただ微笑む
力の源を十二とする国の
数と数を翫び

すべての罰を背負う父よ
灰、雪、砂塵の荒野から
貴方の欠片を見出そう
いつか、おやすみ。愛し名の

クォンタイズに縛られたわたしが
崩壊の後 背中合わせへ溶けてゆくなら
せめて今
目の前の格子を
鼻先の歓びを
耳許の哮りを
手に触れる光を
舌の上で転がす愛おしさを

無数の泡の隙間から

無数の泡の隙間から

  • 自由詩
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-08

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