ただ歩く会

暇人四人の行き先とは。

こうして、ただ歩く会は発足した。

ブログをやっている。
どうしようもなくくだらなく、どうしようもなく愛おしい、そんな日常を描いている。

読んでいる人はさまざまで、なんたらテロを訴える会の人が癒しに読みに来るのが若干うっとおしい。
しかしそれ以外はいたって健全な皆さまである。

私は長居公園が近いことを書き、「よかったら明日、私の日常を覗きに来ませんか?」と書き込みをした。
集合場所は、長居公園。
早速明日に備え、寝た。

着いてみたら、様々居た。
三人くらい。
ガリガリのがり勉みたいなシャツをインした人と、ぽっちゃりな人と、ゴスロリの人。
ああ、針金細工のお姉さんとはこの人の事か。
じゃあラーメン伝の人はこの人、

で、このがり勉はテロの人。

「さあ、行きましょうか」

私は挨拶をすっ飛ばし、ジャージ姿で歩き出した。
まずはコンビニにて立ち読み。
あくまで私の日常なので、文句は言わせない。三人とも黙ってついてくる。

ぽっちゃり君と「猫可愛いですね」と話があったが、お姉さんとがり勉君は無口なままだ。ぽっちゃり君の方がよく笑うし、普通だ。
猫を追いかけるようにして、近所を散歩。

「いつかこういう家に住みたい」

私がテラスのある家を指してそういうと、「そんなことを言ってるから、日本からテロがなくならないんですよ!」と、がり勉君に謎のスイッチが入った。
演説を始めた彼の前に三人座り、「あの、これ・・・」とゴスロリ姉さんが差し出してきた手作りアクセサリーの話でいったん盛り上がって、がり勉君がヒートダウンするころ、商店街に行き、天ぷら屋でゲソ天を買って、長居公園に戻り、お昼とした。

ビールを飲みながら、ゲソ天を齧ると皆「うまい!」となり、「ね、何にもない日常ってのもいいもんでしょう」と私は妙に自信を持って行った。
「明日会社の奴らに教えてやろーっと」とぽっちゃり君の一言で私は萎えた。

それじゃまた、と別れ、私は猫を撫でるべく歩き出したが、どうもゴスロリちゃんが着いてくる。
「どうしたの?」と聞くと、「まだ名乗ってない」と言う。ああ。

「夏です」
「愛華です」

そう名乗って、またブログで、となった。
あなたもわたしも、さみしんぼう。

ふいに、そんな古いキャッチフレーズを思い出した。

ただ歩く会

私の日常には何もないがある。

ただ歩く会

暇人四人集まる話。

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-07

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