捨てて求めてしまいたい

どうか、拾ってくださいな

ぷつりと切れた糸をみて 後悔するのは誰なのかしら

私が切ってしまった糸のはずなのに、それを修復したい 愛していたいと思う自分勝手な思いに心が痛い

本当は 最初からつながってなんていなかったのかもしれない糸を私はとても愛おしそうに拾おうとする

でもね、そうやっていつも私はつかめずに ただもがき狂うのだろう

私が私を愛せず 私が私を受け入れないときに 私は気難しくも否定しまうのであるから


中身のない私をみて 私はいつもこわくなる 
人の身体のぬくもりはこんなにも冷たかっただろうか
誰ともわからぬこのぬくもりに 私は私を預けたくなってしまう

もし 前世の話をするとすれば 私は私の身体を大切にしていたのだろうか
私は 小さな鳥かごの中で 青い空をずっとみていたのではないかと考えてしまうことがある
届かない世界に思いを馳せながら 私は結局昔と変わらず今もそうやって生き続けているのだが

ねえねえ つれだしてくださいな
私のこと 外につれだしてくださいな

いつも いつも笑っている私の顔が憎いのでしょ
なら、どうかわたしを連れ出してくださいよ

私のこと ずっと閉じ込めてくださいな

もし それが愛情というものなのであれば 私は受け入れられるのだろうか


もうあの青い空をみることもない
もう あの世界には戻れない
この空気が私は苦手だった
私は、私を大事にできるのだろうか

あの空も海も もう私を受け入れてくれることはないのだろうな

愛してた 愛してる お願いだから 迎えに来てよ

捨てて求めてしまいたい

捨てて求めてしまいたい

わたしのにおいをおぼえていてください すこしでも、わたしのことを思い出してくれたら、あなたのことを愛していたことに気づいてくれるかしら

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-04

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted