孤軍奮闘

何かの所為にしたい、哀れな人間、今日も死にたくないともがきます

 私は戦います、戦っています、戦っているはずなんです。
 私は無力です、でも無力なりに戦っているつもりです。
 私には才能はありません、そんな気がしてなりません。
私には希望も目標もありません。ただただ無気力、放蕩の日々が続きます(自分でそう思っているところに私の生真面目さが垣間見えます)。
 私は友人と酒を飲みました、久しぶりです、この友人と会うのは。
 とてもおしゃべりが過ぎました、お酒をいただいていものですから。
 私は友人の進歩に感激し(本当に心の底からそう思いました)、彼の人間らしい生き様をウンウンと頷き、時たま冗談交じりに笑いながらその話に参加させて頂きました。
 私は彼のリアルの充実を感じ、とても一友人として感心し、うらやましくも思いつつ、とても嬉しくなりました。
 しかし、彼と私は違う人間です、私は無気力で何もやる気になれません、意欲が、目標がないのです。
 私は彼に冗談交じりの私の今の現状しか伝えることができませんでした。
 彼は楽しそうでした、とても充実感に浸っているかのような感覚でした、しかし私は違います、常に一人戦っている感覚があります。
 恐怖心にさいなまれているだけでしょうか、そうかもしれません、私は元来の小心者です、小さいことを直ぐに気にします、心が弱いのです。
 私は戦います、全てと、親と、社会と……ほかは思いつきません。
 今なら犯罪を犯す人の気持ちが分るような気もします、脱法ドラッグに手を出す人々の気持ちが分るような気もしもます。
 彼らは暇なのです他にやることが、価値が、信じるものが見いだせないのです。今なら分るような気もします。
 戦っているのです、ただただ戦っているのです、世界に自分を知ってくれいるひとは自分一人(もしかしたら自分でも分っていないかもしれません)。
 そんな感覚なのです、私も同じような感覚に陥るときは多々あります(というかほとんどの日々がそのような感覚に満ちています)。
 今の現状を全て悪い方向に考えてしまいます、これも親の所為と考えることができれば少しは心が楽になるのかもしれませんが(ここでも私の生真面目な性格が出てきてしまうのです)、その考えは一時的に出てきたとしても直ぐに消え去ってしまいます。
 私は真面目です、なのになぜでしょう、こんなにも真面目な人間居ないはずなのに……
 なぜか物事が良い方向に傾いていきません、なぜでしょう。
 私は戦います、全てと、親と、社会と、戦う決心がつきました。
 人間自己嫌悪が一番だめんなんです、自分を否定してはだめなんです。
 だから戦います、全部親のせいにします、社会が悪いんです。
 このイライラをどこにぶつければ良いのでしょう、やり場のない怒りです。
もはや怒りにも飽きました無感情です、無気力です、なにをやっても意味のないような気がします。
 困りました、実に困ります。無気力というのはとても難解なもので、何もやる気になれなくなってしまうのです。
 あぁ、私はどこに何をしに向かっているのでしょう? 敵は誰なのでしょう……分りません、ですが戦います。私にはそれしか方法は有りません。
 仮想敵を作ります、作りましょう!
 社会です、しかしこれでは幅が広すぎます、もっとすぼめていきましょう。
 親です、友人です、学校です、幼少期の社会環境、家庭環境です!
 これです、これが悪いんです、今私の理想の敵は決まりました、これらを私の悪役、軸として生きてきましょう、そうすれば、そうすれば未来は見えるはずなんです……
 いや見えなきゃおかしい、何か生きる希望を、希望がほしい。
 敵が欲しい、敵が欲しい……憎むべき対象を……
 考えれば考えるほど分らなくなります、単純で馬鹿なやつがうらやましくなります、勝手に怒り狂ってる奴らがうらやましい。
 敵は誰ですか、あなたですか、私ですか、親ですか、社会ですか、友人ですか、学校ですか?
 そこの所はっきりしてください、分りません、分りません、私には分りません教えてください。
 今日も私は戦います、全身全霊戦います、全力です、本気です。
 だけど、だけど無気力です、生きた心地がしません、とてつもない不安に襲われます。
 無気力とうものはやりたいことと、やれないことの葛藤が互いににらみ合ってこの状態を作り出しているとも考えられます、こう考えれば私のやりたいこと、目標、希望があるはずなんです……見えません、自分には見えませんがあるはずなんです、絶対に。
無気力であるからには希望があるはずなんです、未来を期待しているはずなんです。
 希望は持っています、絶対に、持っているはずなんです。
 孤軍奮闘! 最初からそんな不安は百も承知です、分った上でやってるんです。
 でも怖いんです、怖い。
 一人で戦うのは怖いんです、涙も出ません、ただただ生き急ぐばかりです。
 タバコの吸い過ぎでしょうか頭が痛くなってなってまいりました、いつもいっつも私を邪魔する無力感、いったい誰の仕業でしょう……何を憎めば良いのでしょう。
 疲れました、私はもう寝ます。
 本部応答願います、敵は誰ですか教えてください。

孤軍奮闘

孤軍奮闘

純文学、私小説。 全てに興味が無く、誰の所為にも出来ない哀れな自己の無い人間のもがき。

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-04

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