色んな貴方へ

__現実の人は何を考えているか分からない
  それは、想い人の貴方でもそう
  伝えようと思えば色んなことを貴方に伝えられるだろうけど
  この少し酸っぱい思いは、伝えるのは恥ずかしいかも

__でも、私の中にいる貴方になら、想いを伝えられるかも

貴方1

おはよう。
今日もとてもいい天気だね。

私は元気。
今日も私の中に貴方は存在しているから。

今日も頑張ろうと思って制服に着替える。
そういえば貴方はどんな服が好みなのかな?
現実の貴方には今日も会うけれど、そんな突飛な質問をするほど仲が良いわけでもないからなぁ。

現実世界を生きる貴方へ
 私は他人の本当の気持ちがわからないことがとても怖いです
 それは、貴方も例外ではないです
 だから他人とお話しするのは
 ほんのちょっぴり
 苦手なんです

貴方2

自転車で駅まで行くのはとても楽しいです。
あまり見慣れない景色を見るのはとてもわくわくします。

時々「あれ、ここどこ?」ってなるのも、スリリングな思いが味わえてたまにはいいものです。

いままで一緒にカラオケに行ったことの無い子とカラオケにいくと、意外な一面が見れたりしてびっくりします。
ちょっぴり人見知りな私でも、話しかけてくれると嬉しいです。
ただ、あまり他人に感情表現をするのが苦手で無表情で答えてしまうのは直したいところです。

いつもクールそうな貴方へ
 こういう人間なので、普段から口数が少ない貴方に話しかけるのは緊張します
 そこも貴方の好きなところなのですが、それでも貴方とは他愛のない話とかでもしてみたいです
 でも、ほんの時々見せる好きなことについて話すときの貴方の表情と声が
 たまらなく好きになってしまう時があります

 こういうことは時々されるほうが、更に貴方のことを私の中で大きくさせます

貴方3

今日は少し不機嫌です。
授業の1、2時間目は貴方と科目が違うので一緒の教室じゃありません。
席に座っている時、私がたまに後ろを向いていることを知っていますか?
いつも私は名前の順で一番前側の列に座ることになっているので貴方の後ろ姿を眺められないんですよ。

……こういうとなんか、ストーカーまがいですね。すみません。

そのおかげで私はばれないようちょくちょく後ろの方を見て、机に突っ伏しながら寝ている貴方を見てクスっとしたりしているんですよ。
知ってました?
嗚呼、もしも名前が前の方じゃなかったら、貴方に気付かれる心配もなくずっと見つめていられるのに。

授業中寝てしまう貴方へ
 そういう私も今日は休み時間の間だけ、と寝ていたらいつの間にか授業終了20分前でした。
 いつもは授業を受けている方なのですが、不覚でした。

 後ろ後ろ、と言っていますが、もし貴方の隣なら嬉しすぎて授業に集中できないかもしれません。

貴方4

実は結構、貴方の存在に嫉妬してるんです。

貴方もいる大人数のメンバーで遊んでいる時に、何時も貴方は話の中心ですよね。
私も貴方みたいなキャラだったらその話の中心に入れるのでしょうか。
沢山の友達とも、貴方とも一緒にいられて幸せのはずなのに
どうしても、心の中でドロッとした黒い何かが心に溜まっていくんです。

ちょっと、心苦しいかも。

何時も周りの関心を独り占めする貴方へ
 その時後ろを見てみてください
 視線じゃなくて、いつも後ろにいる取り残されたメンバーを
 私もその中の一人ですが、大人数でいるとどうしても人数オーバーで輪の中に入れない人もいます
 置いて行かれ、気が付かれると「歩くのが遅い!はやくはやく~」といわれるメンバーの気持ちが
 話題の中の貴方は気付いているでしょうか

 貴方に嫉妬しているというより、正確には貴方の立ち位置に嫉妬しているのかもしれません
 貴方は、
 嫌いじゃないです

貴方5

貴方は、幸せですか?
ちなみに私は自身が幸せかは分からないです。
でも、貴方が幸せかどうかははっきり「わからない」と答えられます。
え?同じ答えじゃん?
これは、意味合いが違うんです。
私は本当に、自分の境遇がどうかなんて貴方みたいに分かってないからはぐらかすしかないけど、
私のの幸せの基準と貴方の幸せの基準は違うじゃないですか?だから、自信をもって「わからない」と答えられます。

人間社会に生きる貴方へ
 他人が怖い人間が言うまでもありませんが、
 むやみやたらに自分の物差しを他人に当ててあげないでください
 ですが今、私はこういう基準を貴方に押し当てています
 でもまぁ、お互い様ですね
 現に貴方も今、貴方の物差しを私に当てようとしましたから

 貴方のことは敬愛しています
 だから、そんな貴方なら素敵な人間にこれからなれるはず

貴方6

今日もまた、別の嫉妬。

前みたいに休み時間、後ろを見ていると笑顔で話す貴方と彼女
すぐに前を向いてしまったけれど、貴方と彼女の嬉しそうなあの顔が頭から離れません。
まるで、油性ペンで硝子に絵を描いたように、簡単に落ちてくれない。

貴方も、彼女も。今なんて思っているんだろうかかとか、心の内が分かりません。
それは本当に、本当に怖いことなのです。私にとって。

だからいつも頭の中の貴方の後ろ姿とずっとお話ししているし、
頭の中にいる貴方は何て思ってるか、なんて考える必要が無いのだから。

段々と肺に入れられる空気が足りなくなってくる。うまく、空気が吸えない。
あれ、貴方といる空間はこんなにも息苦しいものでしたっけ。

嬉しそうに人と話す貴方へ
 貴方は知っていますか?
 貴方、結構皆の会話の中に出てきているんですよ
 休み時間や授業中後ろから聞こえてくる会話、
 貴方の名前が出てくる確率が高すぎて聞いている私が変に反応してしまいます

 そんな人気者な貴方のこと、
 知らんこっちゃないでしょうが私はとても嫉妬しています
 貴方に嫉妬しているんじゃないですよ?
 そんなに貴方の名前を呼べる皆に、嫉妬してるだけです
 そんな貴方と長時間笑顔で話せる彼女に、嫉妬しているだけです

そんな貴方に

好きです。
とってもとっても、好きです。
その声が、何気ない優しさが、笑顔が、性格が。
貴方、顔も良いからすぐに女の子が噂してたりするのも、よく聞きます。
私はそんな貴方の中でクラスメイトであり、友人まではいかずとも知り合いまでの認知でいられること、
とても誇りに、とても悲しく思います。
どうしても実らない、種を植えた場所が悪い果実はこのまま時が止まったかのようにずっと、青いまんま存在し尽すかいつの間にか落ちているでしょう。

でも、私はそれでいいんです。

私の中に、貴方が表面で見せてくれるその仕草、声、後ろ姿があれば、ずっと私の中で生き続けてくれる。
そのためには、これ以上の変化を求めない方がいいんです。
変に告白なんてして振られても嫌ですし、喧嘩とかをして貴方のことを嫌いになるよりは、全然いいんです。
今までずっと、画面の中の存在が好きだった私には大きな前進だとは思いませんか?

想像の中の貴方に、最後の思い
 好きです
 今までも、これからも
 ずっと好き
 でも
 貴方の存在は私にとって高嶺の花で
 いくら夜泣いても
 いくら後ろから声をかけようとしても
 遠く、遠く
 私からは遠い距離に美しい花を咲かせていましたね
 いつか貴方はその周りに咲く美しい花と良い恋をするのでしょう
 だから
 ありがとう
 この経験をさせてくれて
 さよなら
 私の中で貴方をずっと、見続けています

 本当に、大好きでした。

色んな貴方へ

これから占いツクールさんと平行して書かせていただく星空文庫さんで初の作品でした
初挑戦の”巡”愛です
チャプターに脈絡がないのは目まぐるしく変わる女の子の心情を読み取っていただこうかと思いました

ずっと頭の中で、いままで見せてもらってきた”貴方”だけを頼りに
これからも彼女の中で彼女の理想とする彼は生きていきます

少し変わった恋愛小説(?)だったと思いますが、最後まで読んでいただき有難うございました!

色んな貴方へ

ほんのちょっと他人が苦手な女の子の ほんのちょっと高い場所に咲いていた花に 恋をした迷走メッセージ

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-06-03

CC BY-SA
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CC BY-SA
  1. 貴方1
  2. 貴方2
  3. 貴方3
  4. 貴方4
  5. 貴方5
  6. 貴方6
  7. そんな貴方に