快晴日和

––––飛んでいた感覚が急になくなった。墜落したのだと思うが、まだ意識はある。
 状況を確認しようと周りをよく見ると、太いパイプのような通路の上に私の体は乗っていた。墜落した瞬間は、その衝撃で全体が大きくうねって揺れた。動こうとしても、どういうわけかパイプに強い力で引き寄せられていて、体がうまく動かない。

 パイプのような通路は複数あり、私は数本のパイプにまたがって乗っている。目が悪いため全体の構造や遠くの方がどうなっているのかは分からない。
 今、遠くの方で振動がしたのをパイプ伝いに感じた。他にも誰かいるのだろうか。すぐにまた振動が響く。振動の正体は分からないが、なぜか本能的に不安を感じる。

 今日は快晴日和だ。自らの運の悪さとは裏腹に、視界の中央に見える空は今この瞬間もその尊さを讃えている。
 もう一度飛び立ちたい。不明瞭な思考の中、またもや振動が響いた。だんだん大きくなっている。どうにかして体を動かしたいが、縛り付いたように動かない。

 次の振動が起きたとき、視界の隅に長い柱のようなものが見えた。柱は一度持ち上がり、別のパイプの上に落ちる。振動は柱が与えているものだった。
 どうやら柱はパイプの上を狙って落ちてくるようだ。そして落ちた柱は、また持ち上がってもっとこちらに近いパイプの上に落ちる。その動作を繰り返していた。

 柱の先がどうなっているかまではよく見えないが、何か異様に大きい影がある。さらに柱も一本だけではなく複数あることがわかった。

––––柱は着実に私の方に近づいて来ている。しかし体はパイプに貼りついたようにびくともしない。どうしたものか。
 そしていよいよ八本全ての柱が私の周りを取り囲んだとき、私は初めて柱の主と目が合った。

   ※

8月3日 にちようび

きょうは てんきがいいので
クモに モンシロチョウを たべさせて あそびました

1ねん1くみ 
ふみたふみお

快晴日和

快晴日和

––––飛んでいた感覚が急になくなった。

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • ミステリー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-05-31

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