あの日の私たちに
すべて見えていた頃
おまえは石段を登り、
振り向きざまに舌を出した
蛙が鳴くのはもう少し先だから
あの日、私たちは樹蔭で囁き合った
身体が浮いた頃
私は学生服を畳み、
おまえの家を訪ねた
月が昇る前に靴を履いた
あの日、私たちは樹蔭で囁き合った
硝子に囲まれた頃
おまえ宛の手紙を書き、
出すことはなかった
雀の囀りを聴きながら家路についた
あの日、私たちは樹蔭で囁き合った
あの日の私たちに
すべて見えていた頃
おまえは石段を登り、
振り向きざまに舌を出した
蛙が鳴くのはもう少し先だから
あの日、私たちは樹蔭で囁き合った
身体が浮いた頃
私は学生服を畳み、
おまえの家を訪ねた
月が昇る前に靴を履いた
あの日、私たちは樹蔭で囁き合った
硝子に囲まれた頃
おまえ宛の手紙を書き、
出すことはなかった
雀の囀りを聴きながら家路についた
あの日、私たちは樹蔭で囁き合った
あの日の私たちに