あの日の私たちに

あの日の私たちに

すべて見えていた頃
おまえは石段を登り、
振り向きざまに舌を出した
蛙が鳴くのはもう少し先だから
あの日、私たちは樹蔭で囁き合った

身体が浮いた頃
私は学生服を畳み、
おまえの家を訪ねた
月が昇る前に靴を履いた
あの日、私たちは樹蔭で囁き合った

硝子に囲まれた頃
おまえ宛の手紙を書き、
出すことはなかった
雀の囀りを聴きながら家路についた
あの日、私たちは樹蔭で囁き合った

あの日の私たちに

あの日の私たちに

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-05-25

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted