私のワンピース
実際の話です。
何処にも着て行くあてがない。
昔、まだ元気だった頃、1着のワンピースを買った。
黒地に白バラの刺繍。
どうも着るあてがないので、藤沢さくらの歌を聴きながら着替えてみた。
うん、華やかである。
家族に見せたら、どっか行くの?と聞かれ、別にと答えると爆笑された。
こうして私の綺麗な時期は過ぎていく。
いつか袖を通して何処かに通ってみたい。
そんな機会、自分から動かないと起きないよ、と思い、明日朝から着て犬の散歩に行こうと思ったりもしたが、今更戯れるなんて、と思い、いつものTシャツに着替えた。
どうせ弄られるのに決まってる。
ここはそういう街だ。
かっこつけお断り。
私の心情である。
私のワンピース、せめて虫に喰われるな。
着てやるその日まで持ちこたえよ、と思って、今日も終わった。
私のワンピース
シンプルイズベスト。