それでも異世界は異世界だ

おはこんばんにちわ。
今回は初の作品ということで心から緊張してしまいましたよ笑
僕自身国語系は全くできないんですがそれでも読んでくれる方がいれば幸いです!
まえがきはそこまでにして
でははじまりはじまり!

第1章 正しい反応とは

第1話 序章

世間一般にはまず知られることのない僕達の人生。

幼児や学生や大人一人一人の人生なんて他人になんてわからない。
だって自分ですらよくわからないのだから。

中学生時代の好きだった女の子や男の子の事。
高校生時代の文化祭での出来事。
就職活動時代のストレスによる鬱気味の感覚、それとも単なる緊張感。

お前らは高校生時代の事を思い出す、又は想像する事はできるだろうか。

彼女は出来なかった。
彼女の場合は、そう、思い出す側だった。
しかしだからといって何も思い出せないのではなく、彼女の欲しがる期間の思い出が出てこないのであった。
彼女の欲しがる期間、それは...

その瞬間。僕は何かを感じた気がした。

おい聞いてんのか?
ここで俺の話はおしまいだ。
ヒントを挙げるとすれば…
彼女の物語は3月27日の正午ちょうどから始まり、年をまたいだ3月27日の11時ごろに終わりを告げる。

こんなところだ。
それじゃあな。

そう言って黒尽くめのグラサン男は去っていった。

きっとあのグラサンはお酒の名前とかついてるんだろう、きっとそうだ。

『あの体で 好きだった人 とかの話されてもな…』

僕は苦笑いを浮かべている気がした。うん。
というよりもいつからグラサンが話していたのか覚えてないんだよね。

第2話 3月27日 午前

あの瞬間に脳内をかき乱していった記憶は一体誰のものなのか...
一人称目線であったことからそう考えることにする。
そしてその記憶はとてもとても鮮明であった。
自分の記憶すらかき消しそこへ上書きされてしまうのではないかと身震いがするほど。
現状、全くもって何も起こってはいないのが不思議なくらいだ。
そう思ったのも、その記憶は記憶の主がどんな生活を送り、どんな生き方をしているのかがわかるくらいとても長かったから。

「一体何なんだ...」

そんな事を考えていると、強い日差しが直接まぶたを照らしていることに気がついた。

「もう朝か」

いつも施錠がしてあるはずの窓が開いたままになり、カーテンもしまりきらずにひらひらと重さを備えつつ軽々しく風に煽られていた。
そしてカーテンと窓枠のあいだから差し込む直射日光は殺人光線をあてるかのように目に照準を合わせていた。
ゆっくりと身体を起こし、
あの瞬間がなかったかのように少年は年季の溢れる中学校とはボタンと校章のみを新調した制服に身を包む。
少年は部活動には入っていない。
そのため、学校指定のカバン以外に持っていくものなどはなかった。
家には中学3年になる妹と共働きの両親がいる。
しかし母親は海外へ、父親は九州の方へ単身赴任中なので、事実妹との二人暮らしのようなものである。

「妹よ、しっかり鍵は閉めてね」

「じゃあ行ってきます」

その日は3月27日。
少年は先生の呼び出しのために、静かな学校へと足を運ぶ。

電車とバスを乗り継いで約30分。
学校前のロータリーまで入ってくれるこのバスは少年と他の学生達を下ろした後にゆっくりと元来た道を辿り、去っていった。
先生には教室で待っておけと言われたのでいつも通りに自分のクラスの自分の席に着く。
学校の校則では携帯電話、スマホ等は原則として使えないが、携帯ゲームの持ち込みは禁止されていない。
そんな屁理屈でカバンの中からPFPを取り出し電源ボタンに指をかける。
小さなカチッという音とともに何年間もやり続けているオンラインゲームがスリープ状態から目を覚ます。
ゲームをやり始めてから約30分。
予定の3月27日の午前9時はとっくに過ぎ、時計の針は9時45分をさす。

「今日であってるはずなんだけどな」

そう言って再び液晶画面に目を向け、ゲームの世界に入り込む。

クエストを一つクリアした頃にはもう1時間30分がたち、11時17分を指していた

「今日じゃないのかな...」

そんなことを言いながら校門を出る。
当然、帰るという選択肢しかないのだが、その時は

『少し歩いて帰ろうか』

そんな事を思ってしまった。

第3話 一人ぼっちの帰り道 3月27日 午後

1年生の頃に帰ったきり、1度も歩いて帰ることのなかったその道。
ほんの1年では何一つ変わっちゃいなかった。

人気の無い住宅地、ヨーロッパとかにありそうな銅像の顔をしたおじいさんの家、前からあるとされる木造二階建ての駄菓子屋さん、そこそこ美味しいと言われるラーメンのチェーン店。

だそうと思えばいくらでも出てくる。
そこまで思い出はないのに覚えているのは何故だろうか。
とても不思議な気分だ。

色々と懐かしみながら歩いている時だった。
黒髪ロングの可愛い?顔が良く見えなかったが、

黒髪ロングということはきっと可愛いのだろう

という希望的観測により、同じ高校の制服を着た女の子は可愛いということになった。

初めてあったはずの彼女には何故だか懐かしい匂いを漂わせていた。

「あの...」

いつの間にか少年は話しかけていた。
彼女は目を丸くして後ずさりを始めていた。

『何?この人こんな住宅街でナンパ?』

と言ったところだろうか。
残念ながら少年は完全無敗の変態男になっていた。

「ごめん、な、何でもない」

とっさに声をかけたことにより、不快感を与えてしまったであろうことに対し謝罪し、
『何でもない』
という要件だけを言い残し、その場を立ち去ろうとした時だった。
黒髪ロングの女の子は一言、たった一言だけ返答をした。

「何でもないんですか?」

彼女は少年のことをナンパ男何これっぽっちも思っていなかったみたいだった。

ーーなぜかって?上目遣いで何でもないんですか?なんていわれたんだぞ?普通返答しないぜ?

「え...」

返答してくれた事にも多少は動揺したが、それ以上に顔立ちが地球人、いや、惑星から生み出されるとは思えない完璧な美少女だったのだ。
そんな人と出会って動揺しない方がおかしい。

まず彼女を見て思ったこと...それは当然

『彼氏持ちかどうか』

それ以外に思う事とすれば

・可愛い!

・想像したのが失礼なくらい可愛い!

それぐらいだろう。
それ以外は自主規制モンだからやめておこう。

最も大切なこと。
何よりも自分の体験してきた中で最も不思議なこと。
それが彼女。

脳裏をよぎった記憶の主であろう彼女。

「?」

不思議そうな顔でこちらを見上げる女の子。

ーーうん、可愛い( ˊᵕˋ )

「いやいや、何でもないよ!」

「?」

「ところで君?名前は?」

あからさまに嫌そうな顔をされてしまった。

「そっか名前を聞く時は名乗ってからだよね」
「ごめんごめん」

そう言ってあっさりと名乗る少年。
これはあとになってわかることだが、この名前を言ったことが運命の選択肢のbルート。
つまりは人生の分岐点というやつだ。

彼女は名乗りはしないが呼び方は指定していた。

「カコとお呼びいただいて結構です」

どこか距離感を感じる言い方だった。
まぁそれもそうだろう。
だって初対面なんだから。

「何年生?クラスは?」

なんだか職務質問、もしくは補導をしている気分になった。

「2年、今から学校で今村先生にクラスとかいろいろな説明を受けるとこだからクラスはわからない」

「...転校生?」

「うん」

転校生。
高校での転校とかほんとにあるのか。
漫画とか小説だけだと思っていた。

「学校まで一緒に行こうか?」

かっこよくそんなことを言っては見たものの、ご丁寧に断られてしまった。
全く、出会いが肝心だというのにヘマをしてしまった。
記憶の話もできないままだし、肝心なところでミスが目立つと中学校の成績表にも書かれた気がする。
まぁ、彼女は記憶の主である。それだけは確定事項だ。
そうして少年は帰路につく。


少年はこのあと、帰り道に交通事故に合った。
理不尽な。
不可抗力とも言える。
気づいたとしても避けることは出来なかった。
それが霊長類最高の反射神経とか瞬発力があったとしてもの話。

少年は高校2年の春 3月27日 午後
死を迎える。

第4話 見知らぬ部屋 3月28日 推測

ピッピッピーー...。

心拍数を測っているのであろう音のなる機械は突如として重い静寂を要求する。
少年の腹部に適度な重みと35度くらいの酵素がよく反応しそうな感覚を覚えた。
しかし、少年は決して起き上がり確認することは出来ない。

少年は暗い部屋の中にいた。
誰も入ることの出来ない、誰も出ることの出来ない
照明が一つだけついた100畳ほどありそうな無機質な部屋に。
当然それは少年のみが知っていること。
それは少年のみが知るべきことを知るために。

ーーようこそ、神無木様。

美しい天使のような翼を備えたロリータポニーテールはそう言った。
この場にロリータポニーテールと少年以外に誰かがいたとしたら聞き間違いという流れもありえるが、
残念ながらこの場には少年とロリータポニーテールの2人だけだった。

ーーここはMG支部です。
ーー外界から隔離されたステルス性浮遊空間です。

片言の棒読みで話し続けるロリータポニーテール。
何処か機械式なんじゃないかと疑い始める。

ーー今から私達はあなたが同意した上であなたを

『売却』

ーー致します。
ーーよろしいですか。

『はい』『と』『いいえ』

なぜ選択肢に

『と』

が入っているのか知らないが説明を聞かないことには何も判断できるはずがない。
そして神無木は質問する。

「はいを選んだ場合、俺はどうなる?」

回答までに少しのラグを感じた。

「はい、神無木様がはいを選んだ場合、生き返ります、そして同時にこの部屋いっぱいにアイテムが出現します」
「その中から2つ持って生き返ることを許されます。アイテムは大きくわけて五種類」
「カード、液体、固体、気体、そして能力です」

「え?」

ーーよろしいですか。

『はい』『と』『いいえ』

神無木はよくわからないが生き返れるのならとはいを選ぶ。

すると、ロリータポニーテールの全身が光り始める。
無数の光となり、大量のアイテムに変化する。

アイテムは...

いろいろなポーション。
雷、光、毒、回復などほんとに沢山。
これらは液体に入るものだろう。

カードケースに入る不気味に輝くカード。
龍の書かれたもの、紋章の書かれたもの、何も書かれていないもの、アビリティと書かれたもの。
その他沢山。
これらはカード類だろう。

ビームサーベル、コンクリート?の破片、ド○クエで出てきそうな星のかけら、カレールー?、禍々しい南京錠、おしゃれな帽子。など役に立つのかわからない固体類。

サンソと書かれたスプレー缶、いや、ドラム缶。
チッソと書かれたドラム缶。
オナラ...と書かれたスプレー缶。
おそらく気体だろう。

あとは能力なのだが、
それはどこにも見当たらない。

「能力もあるんだよな?」

という質問に対し
無表情でロリータポニーテールは返答する。

「はい、書類にサインを」

そう言って説明は終わった。
数秒後、脳内に書類が映し出される。

ーー欲しい能力は何ですか。

だけが書いてある。

「欲しい能力のイメージを強く意識することで手に入ります」

ロリータポニーテールが説明をはさむ。

「そうか...」

神無木は地球上の時間で3時間ほど物色し、すべてのアイテムを見終わる。
その間ロリータポニーテールは話しかけないと話さなかった。

神無木はもっていく2つをきめた。

1つは何も書かれていないカード。
効果も何もわからないが、他のものをカードに閉じ込めることが出来るのではないかと思い、これにした。

1つは能力。
神無木のイメージした能力は
『想像したものを創造し、自分の好きなようにできる』
というもの。

ーーそれでよろしいのですね

「あぁ、構わないさ」

ーーでは改めてこれから神無木様を売却する相手を紹介します。

「神無木様を売却する相手方は、フルカスと呼ばれる町の町長、エマ様です」

「フルカス?」
(外国にそんな名前あったっけ?)

ーー問題はありませんか
ーー同意する場合には

『はい』

ーーを。
ーー30秒のうちに反応がない場合には、この部屋は消滅します。当然神無木様も消滅します。

「わかったよ!はい!同意します!」

ーー同意を確認しました。
ーーでは売却場所に転送いたします。



少年の人生の幕はカーテンコールをする暇もなく閉じたのであった。

今後の生活なんてあるはずがない。
もうエネルギーが作られることも細胞分裂が行われることもなくきっと親族によって火葬されるのだろう。

少年はまだ自分以外の葬式になど行ったこともないのに、1発目で主役を勝ち取った...

少年は死んだ。

3月27日午後6時35分、死亡が確認された。

第5話 戻って…きた?3月29日確定


「にーさん」
「にーさんってば!」

なにやら聞き覚えのある声が聞こえる。

「早く起きてよ!」

(起きる?)

「おそーい!」

ものすごい勢いで声の主は飛び上がる。
その狙いは神無木の腹を指していた。

「ぐはぁ!」
「てめーふざけんじゃねぇぞ!内臓飛び出るじゃねぇか!」

「はあ?出るわけないじゃん」
「早く起きないからそうなるのー」

と言い残して1階に降りていった
毎度毎度生意気な妹だ...

ーー妹?

ふと気づくとそこには何も変わらない妹の存在がたしかにあった。
どうして妹が?
俺は転送されたはずじゃ...

※ ※ ※ ※ ※ ※

ーー転送は成功いたしました。

「神無木様は本日3月29日より」
「エマ様の所有物となりました」

つまりはこういうこと。
俺がエマ様とやらの持ち物になり、今日からはエマ様の専用××とか○○になるというわけだ。
エマというからには女なんだろうが...人間だよな。

※ ※ ※ ※ ※ ※

そうか、人間なんだなそう理解していいんだな。

神無木はまだ気づいてはいなかった、
こんなことが出来る時点で相手は人間ではないのに。

「おはようございまーす!」

突如として後に何者かが現れる。

「あぁおはよう...」
おはよう?

「全く...せっかく買い取ったのに残念な人ね」

「買い取った?」
「お前エマなのか?」

「くっくっく、早速呼び捨てとは度胸があるねぇ」

エマは中二全開な笑い方をする。
笑い転げながら。
2個か3個質問を無視しながら。

「で、何で俺を買い取った?」

「緊急事態だったから?」

「緊急事態?」
「戦争でもしてんのか」

まぁそんなところだねと楽しそうに言った。
楽しそうに。

「戦争なんだろ?なんで楽しそうなんだよ」

「それは戦争だからさ」

くっくっく...とまた中二全開な笑い方をする。

ーーこの世界の戦争とはね、死なないし生きられないの。
記憶も残らなければ、身体、精神も残りはしない。
『そんなことがあった』それだけなの。ーー

彼女の記憶を思い出した訳では無いが自然と思い出した。

「...それは」

「どうかしたの?」

相変わらず馬鹿みたいにニコニコしている。

「当然俺はそれに参加するんだよな?」

「しないよー」

またまた話がおかしくなっていく。
しかしエマは神無木に対し、真面目に聞いて欲しいと今までの会話がなかったかのように重い沈黙を要求する。

「この戦争にこの世界は関わっていない、まずそれを知っておいて欲しい。そして次にこの戦争に終わりはない。始まりがあるだけで終わらないんだよ。君は暗い部屋から転送されてここに来ただろう?その時ロリのポニーテールに合わなかったかい?彼女は戦争運営の1人なんだ。でも彼女はこの戦争を知らない。ただあそこ、あの暗く無駄に広い部屋で永遠に死者の転送又は取引を請け負う。当然、彼女の仕事にも終わりはない。彼女はあの仕事を始めて12年くらいじゃないかな。そして最後、君らこの戦争でのブレイカー。運営殺しをしてもらう」

彼女は1度も目を話すことなく表情も崩すことなく話し終えた。
あの笑顔は一切出てこなかった。
それほど重大なことなのだろう。

「それで、俺は運営を殺せばいいのか?でもこの戦争では誰も死なないんじゃないのか?」

「わたし今そこまではなしちゃってた?」

まぁいっかと自分で疑問を解決したようだった。

ーバンッ!
ドアが悲鳴を上げて妹から逃げるように開く。

「まだ降りてこないの!?」
「肋骨おるぞ!」

ドアは胸ぐらをつかんで1本取られているかのような扱いを受ける
...かわいそうに
ーバンッ!
また悲鳴が上がる。

エマはいつの間にかその場にはいなかった。
また来るねと、窓に息を吹きかけたようなところに書いてあった。

それでも異世界は異世界だ

プロローグって大事ですよね。
そこまでネタバレしてもつまらないですし、
だからと言ってわかってもらえないといけませんし。
難しい。
以上ですわよ。

それでも異世界は異世界だ

グラサンをかけたガタイの良い黒尽くめのおっさんの声から始まる異世界の物語。 何かを感じた少女と 少年の目に映るどこか見えない、足りない女の子。 少年の生まれた時から存在する『生活』と新しく構築されてゆく『生活』。 先はなんとなく読めるのに何か違う。 少年と女の子の間に生まれるものはなんなのか。 ・少年 日本であればだいたいどこにでもいる16歳の男子高校生。 しかし彼の場合は友達がいない訳では無いけど他人との適度な距離感を大切にする帰宅部。 現実では当然何の能力もない... ・彼女 黒髪ロングの女の子。 身長は158くらい。 何か部活に入っている様子もないが、だからといって何もしていないわけではなさそう。 友達と話している見ればいいほうだ。 どこからどう見ても冒険ファンタジー。 恋愛の入る隙など無いはずなのに自然と生まれてしまう。

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 恋愛
  • 冒険
  • 青年向け
更新日
登録日
2016-05-23

CC BY-ND
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  1. 第1章 正しい反応とは
  2. 第1話 序章
  3. 第2話 3月27日 午前
  4. 第3話 一人ぼっちの帰り道 3月27日 午後
  5. 第4話 見知らぬ部屋 3月28日 推測
  6. 第5話 戻って…きた?3月29日確定