残骸の心
あばれだす思い
固い沈黙が悲しかった
「そう、あなたは、わたしを見ていないのね」
心で呟き、微笑んで別れたけれども、
立っていられないほどの思いに、体は揺れている
「どうにもならない」
こんなにあなたに翻弄されてるのに、
この沈黙は、なんだろう
散らばるカードを裸足で踏んだ
どれを使えばよかったというのだろう
「こんなの、酷い」
初めて呟く、うらみごとは、酷く弱々しくて、情けない
ジタバタする思いをあなたは知らないから、今日も大きな背中はビクともしない
残骸の心
朝、布団に散らばる何かの破片
それを拾って窓辺に置いた
健気な破片はかたちを成せずに死んでしまった
「かわいそうに」
昨日の夜は毒々しい色をしていたが、
今は透明なガラスの破片
きっと朝日を浴びたから
窓辺に置いた破片たちを握って
フローリングに撒いてみた
その上を裸足で歩けば、足の裏にひっついた。
傷付けることはない、そういうものだった。
「おまえは、美しくなりたかったんだね」
心音
夢であなたの鼓動をきいた。
「あなたの心音に恋をした」
私が言うと、あなたは困ったように笑った。
せかいにあなたと私だけで、朝一番にきく音が、あなたの鼓動だったなら
そう思いながら目を覚ました。
朝日が、健康な光を送る。
わたしは今日も、あなたを思う。
何も結ぶことのない、けれども幸福な日常が始まる。
残骸の心