生徒会の紅茶
第一部 いろは会長と、
「いろは会長!ダージリンを一杯頂いて良いですか?」
髪の毛が黒く、学ランを着けた目が大きい少年は木目のあるカウンターに腕を置き、四角く脚の長い椅子に腰かけて笑いながら言った。
「あんたに笑いながらお願いされるとムカつくわね!」
髪の毛が赤く眼鏡をかけてショートカットの少女は白いカップにお湯を注ぎながら言う。
「まさか会長が喫茶店でバイトする事になると誰が思った事でしょうね?ああっ!いろは会長!そのコスプレみたいな制服、凄く似合ってますよ!」
そのニコニコと笑う少年の言葉に、髪の毛が赤く眼鏡をかけた少女は力強くコップを少年の前に置いて、言った。
「誰がコスプレしてるですって!私だってね、こんなヒラヒラした服なんて着たくないわよ!ここの店長が変態だからよ!奴の趣味!」
少年は笑って「店長は非常に優秀なお方だ」と小さな声で言った。
少年はダージリンの入った紅茶をすすりながら「しかし、いろは会長もアホですよね、喫茶店の倉庫を燃やしてしまうとは、とんだ放火魔ですね」
少女は苦々しい表情をして言う。
「私を放火魔扱いしないでくれる?焼き芋を焼いてたら火が倉庫に燃え移ったのよ!しかたがないから燃やした分をバイトで返すことになって…」
「いつでも、どこでも食い意地をはってるから、そうなるんですよ、しかも焼き芋なんて…生徒会の会長の名が泣きますよ」
「せめて栗かじゃがばたーでも焼いて食ってれば」
少年の言葉に少女は反論する。
「うっさいわね!似たようなもんじゃない!」
「煮てませんよ、煮て食べませんよ、じゃがばたー、は」
「広坂のバカッたれ!」そう言うといろは会長は右手を大きく上げて僕の麗しい頬っぺたを叩いた。
パァン!
少年は叩かれた頬を自分の手で撫でながら目が輝き始める「いろは会長!また一段と威力が増しましたね!この広坂、嬉しい限りです!」
目の前で私に向かって敬礼する馬鹿な書記官に深いため息を吐いた。
「さっさとその紅茶を飲んで学院に戻りなさいよ、書記官がいなかったら生徒会の仕事、終わらないじゃない?」
キラリとした目を光らせて少年は言う。
「その点では大丈夫です!副会長が、今日は僕、あがって良いとおっしゃていましたので」
「新林の奴め、広坂を私に押し付けたな…」
「いろは会長!なにか言いましたか?」
「別に、ただ広坂が早く家に帰ってくれたら嬉しいって言っただけよ」嫌味のある声で言う。
しかし、広坂は笑って一気にコップに入っていた紅茶を飲み干した。
「いろは会長!おかわりの方をお願いします!よければ、いろは会長の恥ずかしい身体を煎じた紅茶で」
「良くないわよ!」
赤い前髪を揺らして小さく白い手で拳を作って少年の頭を叩いた。
チャリーン、リーン
入り口の茶色いドアが開いた、ドアに付いている鈴が反応良く揺れて鳴った。
赤い髪の毛で眼鏡をかけた少女はお辞儀して優しく微笑んで言った。
「いらっしゃいませ!七色喫茶にようこそ!何名様でしょうか?」少女はお客さんを席に案内する。
そして、その声と少女の表情を見てニッコリ微笑む少年。
ここは七色喫茶、学院と商店街の間にある、小さな喫茶店。落ち着いた雰囲気と古ぼけた家具と大きな古時計が置いてあるだけのお店、だけども紅茶の味には自信があります。また一度、ご来店の方を御待ちしております。
生徒会の紅茶
第二部の方もまたいらっしゃて下さいね