言葉~銀土~

死ネタです。土方死んじゃいます。切甘です

土方が死んだ。


仲間を庇って背中をバッサリ斬られたそうだ。

最後の最期に限って、
あいつらしい死に方で死んでいった。



夜中、
神楽も寝入り俺もそろそろ床に入ろうとした時、電話が鳴った。

その電話に
出ろ、出ろと言われてるかの様な雰囲気を感じ、俺は珍しく電話に出た。


そこから聞こえてきたのは、
男の荒い息遣い。
でも、只事じゃないのが一瞬で伝わった。
「副長!副長!」
と、電話の背後で数人の男達の声が聞こえる。

「おい、おいまさか土方か?」

名乗らぬ相手にこちらから尋ねると、
荒い息と共に短く「あぁ」と返事をした。

電話の先にいた相手は、
俺の大事なヤツ、土方十四郎。

「副長しゃべらないでくださいっ」

土方に何があったのか、
すべてを悟った。



ーーー土方が斬られた。


「土方、今何処にいる。お前んとこ行くから、場所教えてくれ」

そう尋ねても、
返ってくるのはヒューヒューとか細い息だけ。俺はもう一度尋ねた。

「土方、死ぬなよ。そんな所でくたばるなんて、お前らしくねぇだろ。なぁ…頼むよ、何処にいるんだ…」

俺の声は周りにいる隊士には聞こえてねぇみたいで、周りは俺の問に答えようとしない。
それどころかどんどん喧騒がやかましくなり、土方の息遣いすら聞こえなくなりつつある。

電話を切って、
屯所に乗り込み、どこにいるか聞き出す選択肢もあったが連絡手段はこの固定電話しかないためそれは出来ない。どうしようかと迷っていると、ふと土方の声が聞こえた。


「……とう、」



「え……?」


ツーッツーッ…

と、
無機質な音が聞こえる。


俺は受話器を手からすべり落とすと、
崩れる様に泣き叫んだ。




音が拾いにくく、
殆ど雑音だった中で聞こえた
たった一つの言葉。



「ありがとう、銀時」



~終~

言葉~銀土~

言葉~銀土~

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-05-21

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