愛が溢れた世界

愛や夢物語を信じられない女の子、叶が愛について教えられます。

愛の溢れた世界で

この世は優しい愛で溢れているなんて今流行りの歌手が歌っている。ありきたりな言葉で…。それに踊らされている日本人。なんてバカなんだろう。
愛で溢れてる?綺麗事にもほどがある。どこが愛で溢れているんだ?
汚れきったこの世界のどこが?なんて思う私は周りからよく「夢がないよね、叶って…」
なんて言われる。
まぁ、その通りなんだけどさ、夢物語とかは信じたりしない。あんまり…
だって、日本には犯罪がある。犯罪のどこが愛なんだろう…。

そんな時、私の目の前に現れたのは、ファンタジーを信じない私としては、理解できないものだった。
「ちゃららーん!こんにちは!かなちゃん!わたしはようせいさんだよぉー!」
妖精…。信じられるわけがないけど目の前に現れたのは日本人の想像する妖精そのまま。
だけどわたしは信じられない…。
「はぁ?いやなんなんですか?妖精って…意味わからないんですけど?」
私は切れ気味に言う。そうしたら、妖精?は、無邪気に笑って
「あのねー、わたしはねー普段は人に見えないんだよぉ〜!でもねー!可哀想な人は私のことが見えるんだよー!」
と…。
「いや⁉︎なんなわけ?私は可哀想でもないし、意味わからないんですけど!!」
「んーん、可哀想だよ?だって、夢も愛も信じないんだよ?可哀想すぎるよ!だからね、そういう人のために妖精さんは活動してるのー!」
さっきからわけわからないことばかり言ってる妖精を私は見つめた。
そして思う。わけわからんと!
「あのねー、私はね、あんたみたいな妖精とかいうバカに構ってられないの。じゃあもう帰るわね」
私がそのまま帰ろうとすると妖精が引き止めてくる。
「まってまってー!勿体なさすぎるよ!かなちゃん!愛と夢を信じない人生なんて、アイスがないのと同じようなものだよー!」
どんなこと言われたって振り向かない。っていうか、アイスがなくたって生きていけるでしよ?
もっとみんなが共感することいいなさいよ!
「かなちゃーん!かなちゃーん!!」
あぁ、まだ呼ぶわけー?うるさいなぁもう、
「なに?もううるさいわね、」
「かなちゃーん!振り向いてくれたー!わーい!
あのねーかなちゃんはさ、この世界は愛で溢れてないって思ってるんだよね?でもねー、ものすごーく、愛で溢れてるんだよ?たとえそれが犯罪でも…」
妖精はそう語りだす。というかなんで私がそんなこと思ってるの知ってるのよ
でも、なんとなくききたくなってしまう。

「犯罪のどこが?愛で溢れているの?」

「それはね、もうたくさんの愛で、愛で溢れているからといって犯罪は犯罪だし許されるわけはないんだけどね?」
「当たり前ね」
「例えば、ストーカー、これはさ、その人のことが好きで好きで仕方ないからするんだと思うの。好きでもない人のストーカーなんてしたいと思う?全く興味がない人のストーカーなんてしない。だけど大好きな人のストーカーは、ダメだとわかっていてもしてしまうみたいなの。好きだから。好きって充分愛でしょ?その愛が大きくなりすぎて、溢れるどころか溢れすぎて、それが犯罪になってしまったの…」
そういうのもあるのね。でも制御出来ないなんてどうかしてるわ。程度ぐらいわかるでしょ?

「次は盗撮、これは、成人男性がよく未成年の女の子にするんだよね。これは、気持ち悪い愛だよね…。これはでも、盗撮とかをするということは、女の子が大好きで仕方ない。変態さんだね!好きすぎて、盗撮なんてするのは絶対駄目だよね。愛がすぎてこうなったの。でもね、変態さんは別にいいの。変態さんという名の紳士ならね。だけど盗撮なんかしてしまうのは紳士じゃあないよね?一歩間違えれば愛は犯罪になるの。愛と犯罪は紙一重のようなもの。」
突っ込みどころ満載な話だわ。
「というか、ストーカーとか盗撮はまだ愛だと言い切ってもいいかもしれないけど殺人はどうなるの?愛だとは思えないわ。」
「愛に決まってる」
「言い切るわね」

「殺人は愛の度が超えたの。超えすぎて、犯罪になった。これは狂気に満ちた愛だよね。でもこれは相手によって愛の形は様々なの。親を殺してしまったなら、恋人を、殺してしまったなら、友達、たまたま通りすがった知らない人、全部イライラがつのったときにしてしまうんだろうね。許されるわけないけどね。でもね、殺すってことは、好きってことなの。」
「…あなた、それは、物凄く怖いわよ?殺すことが愛?」
「怖いよね。でも嫌いな人のためにわざわざ刑務所に入りたいかな?入りたくないよね?それにわざわざ嫌いな人のために力使いたいかなぁ?頭使いたいかなあ?嫌いな人っていうのはその人の存在すら認めてないってことなんだよ?殺さない。無関心。だから…」
「あなたが怖くて仕方ないわ。というかさっきから、そういうのばかりで愛が怖くなってきたわ。

「でもね、まわりをみてみて?全部愛だなぁって思うよ。」
私は周りを見回してみた。周りには、歩道橋に荷物を持ったおばあちゃん。道路の片隅に咲く大輪の雑草。野球部の中学生が走っていて、車が通っている。お店の前では、店員さんがお客様に向かって、笑顔で話しかけている。
なんてことない普通の日常じゃないの。
「んー?」
「かなちゃん、よーく見て見て?野球部の若い顧問の先生みたいな人が歩道橋にいるおばあちゃんの荷物を持ってあげてる。それを見た部員たちが、おばあちゃんを支えてあげてるよ?それからあの車、雑草に生えてる小さい一輪の花を踏まないように、運転してあげてる。お店の店員さんが一瞬こけそうになったところをお客様が受け止めてあげてるよ?
それって愛じゃないのかな?」
「そうかもね…。確かに…」
「人間ってね、愛がないとさ、なんの行動もしないんだよ?愛があるから生きているようなもの。もっと周りを見てみて、そしたらこの世界はとても愛で溢れた素晴らしい世界になるとおもうよ。輝いてるよ。」
「…そうだね。確かに素敵…。あなたのおかげで私の人生が輝きを増し始めてる。ここってこんなに素敵なところだったのね。…ありがとう。」
「どういたしまして。じゃあ私はべつのひとのところに行くね。」
「あぁ、そうだったわね。いってらっしゃい!」
「うん!行ってきます!」

あぁ、この世界はなんて素晴らしい。愛で溢れているんだろう。

愛が溢れた世界

優愛です。ここまで読んでいただいてありがとうございました!
私は、ちょっと綺麗ごとかもしれないと思うような言葉が大好きで、そういうものに、よくつられてしまう女子高生です。
でもあえて、かなちゃんみたいに愛や夢を信じられない子を主役ポジションにして、愛について語れればいいなぁと思い妖精さんを出して愛を語らせてみました(笑)
愛を信じてみたら、世界が変わるなんて言い過ぎかもしれませんが、とても素敵な世界に見えるようになると思います!
それでは!ありがとうございました。
これを読んでくださった皆様が幸せなことを願います!

愛が溢れた世界

愛を語る物語です!

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-05-21

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