せんせいが

夢の中で友人二人は子供になり、私だけ大人のままでした。

二人のせんせいになった夢

ふわふわした春の世界にいた、友人の二人は子供になってた。男の子と女の子。見慣れた風景。家族連れが好きな公園だった。私は友人二人の「せんせい」になっていた。

芝生の上にシートを敷いて、私はバスケットを起いた。二人にお弁当を作ってたんだな、この場合はどんな目的とか考えなくていいや。
二人にお弁当を与えた。男の子は私とお弁当を交互にみて「食べていいの?」と言った。発言の意味がわからないが、「食べていいよ、二人に作ったのだから」と言った。

男の子はキラキラした顔をして食べてた。女の子もおずおずと食べ始めた。可愛い。
二人は頬を膨らませて食べていた。女の子は「ママが作ったお弁当より美味しい!」と言い出した。思えば私も卵焼きとウインナー以外は冷凍だったし、その発言の真意もわからなかった。

二人はリスのようなハムスターのような可愛いらしさで弁当を平らげてた。
その公園には無いはずの遊具があって、鬼ごっことか物理的に体格差のある二人には出来ないから、地球儀の形した回転する遊具をぐるぐると回してた。

水族館があるからお金を出そうとしたら「お母さんの知らない人にお金を出させたら怒られちゃう!」と男の子に言われた。しっかりしてるなと思ったが「二人はお金かからないんだよ、子供だから」と言ったら目を輝かせた。何か引っかかるものがあった。

水族館の暗がりはやはり怖いのか男の子は私の袖を引っ張り歩いた。女の子ははしゃいで、走って館内を見ていた。
「そんなに急がなくても魚は逃げないよ?」と言ったら「ママはね、遊園地も水族館も連れて行ってくれないから。嬉しいの。」ああ、そういうことか。

大きな水槽にでた。マグロが大量に泳いでた。私は疲れた。この時点で。
男の子は私の元を離れ、マグロを追いかけて「マグロと鬼ごっこしたらどっちが早いかな?」という子供特有の可愛いことを言ってた。女の子は「マグロは食べるものだよ!お刺身にしたら美味しいんだよ!」と言ってた。いやはや、女の子という生き物は現実的だ。

「お土産屋さん行こう、二人に何か買ってあげる。」と言ったら男の子は「せんせいでも、高いお金のやり取りはしちゃだめだよ。」と言った。女の子はシュンとしてた。子供の現実的な発想には裏があると、なんとなく思った。

仕方ないから館内のレストランで二人にクリームソーダをご馳走した。「遠足みたい!」と男の子は言った。私は引率者か。まあ、遠足だわな、と納得させた。

外に出て、春の空気を吸った。海辺に行ったら、生臭さはなくて新鮮な磯の香りがした。

私はベンチに座ってタバコを吸った。なんとなく、子供の前ではタバコを吸わない主義だから。二人を遠目に見てた。男の子は貝殻を集め、女の子はきゃあきゃあ言いながら水しぶきを湛えた。

タバコを吸い終わった私は男の子に近づいた「貝殻集めてるけど、お家に飾るの?」と話かけたら「お母さんに上げるの、受け取るかわからないけど、喜ぶといいな」と言った。子供が与えたものを受け取らない親がいるものなのかな。
「喜ぶよ」と私は言った。

「女の子と遊んできたら?」と言うと「お洋服汚れたらお母さんが怒るからいい」と言ってひたすら貝殻を集めてた。私は意地悪して、私は女の子と遊んだ。そしたら男の子はじっと私を見つめて、結局三人で水しぶきをかけあった。

一通り遊んで、男の子は言った。「せんせい、タバコ吸って!わっか作って!」女の子も「私も見たい!」と言った。二人が言うなら…と思って火をつけ、わっかを作る。二人ともはしゃいで、喜んでいた。

ねむたい、あ、そっか、これ夢の中だった。と思った矢先に、二人は言った。

「せんせいがお母さんだったらよかったのに」「ね、私も思った。せんせいがママになってよ。」

無茶苦茶いうなよ…おまえら、強く生きろよと私は泣きながら言って目が覚めた。

せんせいが

二人は家族、特に母親に良い思い出がありません。二人に同情してるのでしょうか、私にはわかりません。

せんせいが

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-05-19

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