一本の木とサボテン
(・∀・)人(・∀・) ~
少し変わった場所で、砂漠の中に
そこは、少し変わった場所で、砂漠の中に、小さな森と、すぐ近くには、サボテンが、数十本生えておりました。
そのサボテンの中で、少し太っちょのサボテンは、いつも、いつも、森を眺めては、ため息をつくのでした。
『なんて、スラーっとしていて、素敵な木々なんでしょう。』
特に、一番背の高い木に自然と目がいき、憧れを持つようになって、いつしか、太っちょのサボテンは、その背の高い木に恋をするのでした。
一方、森の中で一番背の高い木は、とても遠くを見渡せるので、近くのサボテンたちには、目がいきませんでした 。
しかし太っちょサボテンは、どうしても、自分の気持ちを、その一番背の高い木に伝えたくなりました。
『どうすれば、こちらを見てもらえるだろう』と、悩みました。
考えて考えて、考え抜いた末に、いい案が浮かびました。
『そうだ!花を咲かせよう』
太っちょサボテンは、つぼみを大切に育てました。
そして、大きくなった赤い花を元気に開いたり閉じたり。時には、ピンク色の花をチラつかせたりと、一生懸命に見せびらかします。
その思いが通じたのか、背の高い木は 、太っちょサボテンに気がつきました 。
可愛い花はもちろん、一生懸命に花たちを咲かせている姿がいじらしく、なんだか意識するようになって、背の高い木は太っちょサボテンが好きになりました。
けれど、ふたりの距離は離れていて、 近づく事は出来ないのです。
ただ、ただ、見つめ合うだけなのです。
そんな ある日、とても悪い人間が、森へ来ました。
「あぁ、とても良い木がある!」
「これを伐(き)って売れば、たくさんお金が入って、遊べるぞ。」
そう呟くと、なんと、一番背の高い木を、伐りはじめました。
太っちょサボテンは、辛くて、とても見ていられません。
ギーッギーッ。ギーッ。
背の高い木が、伐り倒されようとしています。
その時、背の高い木は、最後の力を振り絞って 、太っちょサボテンの方に倒れていきます。
『やっと近づけたね』
そう言って背の高い木は、太っちょサボテンにキスをしました。
やっと近づけたのに、それが最後の別れになってしまうのです。
太っちょサボテンは悲しくて、悲しくて仕方がありません。
運ばれてゆく木を前にして、太っちょサボテンは、白い花を精一杯、背の高い木に向けて、必死に咲かせるのでした。
一本の木とサボテン
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