昔はギャル 今はJK

時代が変わっても

1970年代に入って街中で見かけるようになったギャル。
1990年代に入ると増々進化しコギャルとかマゴギャル呼ばれるようになり、今ではJKと呼ぶそうだ。
当時のギャルもコギャルを育て終え、今ではコギャルが子育て真最中だった。
「ねえー、お母さん。昔、コギャルだったの」
「突然、何、言っているの」
不意を突かれた言葉に母はテレビから目を離し娘の顔を見て言った。
「陽菜のお母さんもコギャルなんだって」
「陽菜って、この間、街で一緒に歩いていた娘かい」
「陽菜だけでなく、亜沙陽のお母さんもよ」
「何で、そんな話になったの」
「この間、クラス担任がホームルームで言っていたの…そうしたら先生も昔はコギャルだって…」
「それでクラスが盛り上がってさー…調べようと思って聞いたの」
「そんな事より宿題があるでしょう」
母は話題を切り上げようとした。
「それが宿題なの…今、グループに分かれて調べているけど…それでお母さんにも聞いているの」
「困った先生だね」
母はテレビに目を離さないまま言った。
「そうだ、お婆ちゃんも昔はギャルって…知っていた」
尚も娘は聞いた。
「それは聞いていたけど…そんな事まで何で知っているの」
「お正月に遊びに行った時に古い写真を見せてくれて話してくれたの」
「そんな話もしていたの」
「そうしたらお母さんがコギャルだって…そうしたらその娘の子だから私はマゴギャルって…」
「その話をクラスで話したら盛り上がって、秋の学園祭でギャルファッションをする事になったの」
「変なことを調べる学校だね」
「だって昔から言うじゃない流行は繰り返すって」
「その言葉、誰から聞いたの」
「お父さんよ」
「そんな事を言っていたの」
「この間、お風呂でお父さんの背中を洗っていたら話してくれて、そこでも盛り上がって…」
「お風呂から出ようとすると当時の服もあるからって言うから、そうなったの」
テレビを見ている母に娘が言った。
「もう、そんな事まで話したの」
母は娘の話に上の空、なおもテレビを見ながら言った
「お母さん、服は何処にあるの」
娘は聞いた。
「あの服はお婆ちゃんの家にあるから」
母はテレビを見ながら答えた。

それから数日が経った夕方だった。女子高2年の娘が帰って来ると、玄関には還暦を過ぎたお婆ちゃんの靴も有った。そのまま急いで入るとお婆ちゃんもお母さんも若い頃の思い出の服を着ていた。
驚いた娘は聞いた。
「何やっているの」
笑顔の母は祖母を見て言った。
「これ青春時代に着ていた姿なの」
その顔を見ると日焼けしたように小麦色で、長い着けまつ毛に厚化粧で髪も染め服もミニスカートだった。ただ露出している腕や手足を見ていると、衰えは隠せず他人には見せられないほどだった。
「これが私たちの青春だったの」
代表して祖母が言うと夜遅くまで昔の話で賑わった。

昔はギャル 今はJK

昔はギャル 今はJK

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2016-05-16

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